【HQ】ヘーゼル色の光・3【夜久衛輔】 (ページ25)

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勢い余って何とやら、なんてのは今の俺のことを言うのだろう。

「ッふぇ、！？……！？！？」
「ふぇってなんだよ！いいか、Aは自分が思ってる5倍は、いや10倍……？まぁ具体的な数はいいや、Aが思ってる以上に可愛いし美人だから、ああいう姿を1度、たった1度見るだけで勘違いする野郎は腐るほどいんだよ！」
「まあ、美人だねとは、言われますけども…」
「その自己肯定感の高さは良い。俺にとってはうじうじされるよりもそっちの方が潔いし好きだからそのままでいろ。だからこそ、だ。この場にいるのが俺じゃなかったら、きっと危ねぇ目に遭ってたぞ。聡くて自己肯定感が高いAなら、危ねぇ目に遭うってのがどういうことか分かるよな？？」

半ば脅しに近いのでは？と少し焦りを覚えつつも、やはり『死ぬまで俺以外にはしねぇで欲しい』なんていう後から考えればワガママに近い願望は除いてAに告げた。俺の抱いた感情は抜きにすると言わねぇと間違いなくAが危ねぇ。それに変わりはない。

「……は、い…」
「世の中とんでもねぇクソ野郎もいんだよ、それらに泣かされねぇためだ。………あと」
「？あと？」
「……その…さっきのが恥ずかしいって思ってんなら、もういっそのこと、さっきも言ったが俺の前だけにしてくれ。っ1度見せちまってるヤツの方が気が楽だろ、Aも。」
「ぁ………」

おい、どんだけ自分の前だけにしてくれって頼むんだよコイツはなんて思った。だけど1度声に出して放った言葉はもう取り戻せない。後からそれっぽい理由を付けて何となく誤魔化したような心地になるが、もうそれでも良かった。

「…………わ、わかった。衛輔の前でだけ、にする…」
「ん。」

弟達にやる癖のまま、Aの頭を手でポンポンと2度撫でる。
ありがとう、と熱に浮かされた苦しそうな息を吐きながら小さな声で言われたことで、無理すんじゃねぇだとか溜め込むなだとか腕掴んで悪かったとか。他にも言おうと思っていた言葉の数々は、後日改めて告げようと思ってらしくもなく後回しにする。不要になったティッシュボックスを元あった場所へ戻した。