【HQ】ヘーゼル色の光・3【夜久衛輔】 (ページ22)

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夜久の相槌にどこか安心感を覚えていたAは、その相槌の後に告げられた言葉に目を見張る。言っていないはずだ、と言わんばかりの表情を引っさげながら視線を夜久の顔へと移した。

「え、！？言ってないし、そういう素振りも見せてなかったし、隠し通せていた、つもりだったのに……！！」

どこかで勘づいたのだろうか、それともやはり顔に出ていたのだろうか。確かに誰もいないところではズキズキと主張し続けるその痛みに堪らず顔を歪めていたけれど、それを見られたのだろうか。
38度、いや39度近くの、茹だるようなハンデが期間限定的な形で付随されてしまっている脳でも、心でも。こういう時の思考速度はさほど変わらないようだとAは熱のこもった息を吐きながら、自己理解項目を1つ増やした。

Aは夜久にどうしてなのかと聞こうと口を開きかけた瞬間、夜久はあーと声を上げてどこか言いづらそうに後頭部を軽く掻きながら、意を決したようにAの名前を1度呼んで潔く告げた。

「──────隠すのもなんだし、正直に言うぞ。Aがさっき見てた夢、全部現実だ。Aが目を覚ました時に俺の手が添えてあったのは、おれがAの甘えに応えてたからだよ。」

「─────────っっっ、………？」

夜久のその発言に、先程まで回転していた思考回路がショートするかのように止まる。夜久が告げた1つ1つのワードを脳内でゆっくり噛み砕いて、やがて。

「〜〜〜〜〜！！！！！！！」
「ふは、やっと分かった！って顔してるな？」

まるで声を上げずに悶えているかのような反応を見せたAを見て、夜久は思わずAの反応がおかしくて笑ってしまう。するとその笑い顔を見たAは両手で己の顔を覆っていた。

「っA？どうした！？また気分が悪く───………っ、」

少し慌てたように隠された顔を覗きながら夜久はAに声をかけるが、Aの様子を見て紡がれようとしていた言葉は途絶える。

「………〜〜〜〜っっ、やだ、夢だと思ってたのに………！！どうしよう、はずかしすぎる…！！！」

隠しきれてない耳まで熟れた林檎のように赤くして、ほんの少しだけ顔から手を離してAは堪らず掠れた声を上げた。隣にいる夜久の顔を見上げられず、思うように動かない身体はいつもなら足をパタパタと動かしているだろうが、高熱を出している身体では、ふるふると首を左右に振ることで精一杯だった。