*22-3. ページ3
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……ただの杞憂であってくれ。
体育館に着いたら電気も消えて鍵も施錠されてて、とぼとぼと食堂に戻ったら「あれ?そんなに息切らしてどうしたの3人とも?」なんて首を傾げて聞いてくれ。
そしたら、お前がここにいなかったから心配になって、俺ら皆で探しに行ってたんだっておどけてやるから、それを見て変なのって言って笑ってくれ。
きっと夜久が「心配したんだからな!」て少し怒ったように言うんだ。
海も「Aがいてくれて良かった」ってその朗らかな笑顔で笑って言うと思う。
俺もその後に「しっかり見張ってないとうちの綺麗なお嬢さんはどこに行くか分かりませんから」なんてからかうから、
いつものように鈴を転がすような声で笑ってくれ。
でも、俺は知っているんだよお嬢さん。
変なのって言った後に、必ずお前は「気にかけてくれてありがとう」ってその整った顔を可愛い笑顔へ変えて言うんだ。
そのサラッと出来る気遣いと感謝の精神を持ち合わせている、
こんなに出来た美人さん、中々いませんよ。
(────そういうとこに、実は惚れてんですけどね)
話しかけるまでは真顔で、整いすぎて怖いくらいで人を寄せつけないのに、俺らと打ち解けてくれた後は沢山笑ってくれてますよね。
何でも出来るのに、気遣いも出来るのに、それを鼻にかけることは全くない。むしろ自分に出来ることがあれば他人に共有したり力を貸したりする優しい奴って、俺は知ってる。
気が利くとこもしっかり者なとこも、案外ツボが浅いとこも、スタバガチ勢すぎるとこも、育ちがいいとこも、ワードチョイスが面白いとこも、物理基礎が苦手すぎるとこも、もちろん知ってるんですよ。
───────君が夜久のことを想ってるのも、知ってる。
「────黒尾!海!聞こえるか!!」
誰も話していなかったA以外の同い年3人のグルチャの通話が、第3体育館へ向かった、
その声音で嫌でも察する。
どうやらただの杞憂ではない上に、
お姫様が想いを馳せる王子様が
まるで魔法をかけるように
お姫様の元へ助けに来たようだ。
「聞こえるぞ夜久!」
「Aがいたのか!?」
「──────Aが!!倒れてる!!!」
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時