*27-1. ページ20
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「…………ぅ゙……、…………」
目を開ける前に、気になることが沢山あった。
快適な空調と左手肘に何か施されているような違和感、そして右頬に何かあるのを認知して意識が浮上する。
(なんだろうこの感じ、程よく冷たいけど温もりがある………)
「………………………???」
右頬と自分の唇の右側が確かにそれに触れている。何だろうと思い、右方向の視界を1番に飛び込ませるようにAは目を開けた。
(……!?!?えッ!?これ、え!!?)
その右頬と唇に触れている何かの正体が、自分が恋愛感情を抱いている人物の左手であった。訪れる感情は驚愕、ただ1つである。どうして自分の顔に好きすぎる人の手が添えてあるのか。そしてその左手の主は疲れが当然溜まっているのであろう、うつらうつらと船を漕いでいたが、Aの顔が半ば反射的に僅かに動いたのを察知して勢いよく顔を上げた。
「ッAっ!!!」
「わッッッ!!!」
夜久がAの名前を叫んだのと、その夜久が起きたことに驚いたAが声を上げたのが全く一緒だった。Aは左手肘に点滴を施されていることをまだ把握していない。たまらず距離を取ろうと一瞬で(というよりしれっと腹筋で)上半身を起こして自分の左側へ退こうとした瞬間、繋がっていた点滴の管が原因でグラリとAのいるベッドの方向へ、点滴スタンドが揺れて倒れてくる。それを見た瞬間にAは把握していなかった点滴の存在をそこで知る。
右側には夜久、左側には倒れてくる点滴スタンド。
(やばいやばいやばい!!!!!)
目を覚ませば、
点滴されてる、部屋には何故か2人だけ、夜久が自分の顔に手を添えている、ビックリしたら点滴スタンドが倒れてくる。
あまりにも驚きの連続で目を回すようにキャパオーバーしながらも、もう点滴スタンドの打撃に耐えるしか為す術はない、なんて判断してしまう。いつもとはもう比べ物にならない程に正常な判断が出来なくなっていたAは、これからくる衝撃に対してキツく目を瞑った。
「ッッ危ない!!」
それと同時に、夜久がすかさず叫んだ。
「ッ…、〜〜〜〜〜〜〜!!?」
「っと、!」
目を瞑ったと同時に夜久の声が聞こえたと思った瞬間、ベッドに身を乗り出した夜久の左腕によってAの上半身は強引に夜久の傍へと引き寄せられていた。点滴スタンドは夜久が自身の右手でしっかりと掴んでAのところへと倒れてくるのを完璧に阻止されている。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時