*26-4. ページ18
・
きっと今冷たく感じられるものは、体内に入れている点滴の液体だけなのだろう。今Aが戦っている苦しさから逃れるためなら、手でも何でもくれてやる。
心の底からそう思ったと同時に、すぐに手が伸びてAの頬に己の手を添えていた。前から思っていたけど、やっぱAの肌、すっごくスベスベしてんな。女子の肌だからだろうけど、間違いなく他の女子よりも綺麗な肌なんだろうってのは異性の兄弟(いや姉妹だな?)がいない俺でも分かる。
「はぁ、…………ッ゙、もりすけのて………、つめたくて…………きもちいい、………っ、このまま……この、まま……が、いい、なぁ……………………」
………男相手に、きもちいいとか、言うなよ。
頼むから、他のヤツらの前でそんなこと言わねぇで欲しい。そんな涙を流して、熱に浮かされて上気している頬を見せながら無防備なとろんとした顔で言わねぇで欲しい。俺以外のヤツと付き合ったり結婚したりしたら、こんな顔を、いやこれ以上の顔を見せることになるのか…。一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、そう思っちまって、心にチク、と鋭い針が刺さるような心地をつい覚えてしまった。
まるで撫でられる心地良さを知ったばかりの迷いの仔猫のように、Aは俺の手に擦り寄るような仕草を見せた。待て、手を添えてる時からずっとAの唇が手に触れてっけど、めちゃくちゃ柔らかくて、それでいて、弾力、あんじゃねぇか。やめろよ、男相手にやめろよ。本当にやめろ。俺以外の相手に絶対ェするなよ。もう、今後は死ぬまで俺以外にはしねぇで欲しい。こんな可愛くてたまんねぇこと。俺の前だけでなら、何度だってやっていいし、全部受け止めてやっから。
黒尾じゃねぇけど、意識取り戻したらこの事を揺する材料にして、俺以外のヤツに言わねぇって、仕草を見せねぇって約束させちまおうか。案外良いかもしれねぇな。それくらい思っちまった。本当にやってやろうか。こんな仕打ちを受けて、状況を察して何もせず受け止められるの、きっと世界中捜しても俺だけだろう。だから、本気で揺すって無理やりにでも約束させて、俺とAしか知らない2人だけの秘密を1つ、作っちまおうか。
「………ね、もりすけ…わたし、ね…………………」
最後に涙が一筋零れると同時に、朦朧としていたAはまた意識を手放したようだ。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
155人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時