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楓ちゃんの報告に頷きながらも、聴診器でAの心音を確認した後、救急隊員の1人が口を開けた。
「了解。近くの救急科へ搬送します。第一発見者の方はこの場にいらっしゃいますか!」
「ッ!俺です!!」
「ご同行をお願いします。病院につくまで発見時の話を伺わせてもらうためです。」
「っっ分かりました!」
ベッドから担架に移されたAを見ながら、救急隊員の人にそう返事をする。向かい側にいた黒尾が、まるで人が変わったかのようにその通る声を荒らげた。
「夜久が行くなら、俺も海も行かない訳には行かないだろ…!同行させてください!」
「っ黒尾。気持ちは分かる。だけど後輩達を落ち着かせる側もいないといけないだろ。」
「ッッ海1人でも十分だろ!俺は主将なんだぞ!!」
「黒尾、お前らしくない、落ち着け。海の言う通りだ。俺がちゃんと、夜久と一緒に側にいるから、お前は不安がってる音駒の部員を頼む。主将。」
「ッッッ………、……………分かり、ました。すみません、取り乱しました。」
海と直井コーチが黒尾を諌め、黒尾は荒らげた息を整えるように、自分の焦る気持ちを落ち着けるように深呼吸した。黒尾も、こんなに感情を顕わにすること、あるんだなと少し驚いてしまった。
「救急車へ運びます。同行者はついてきて下さい」
「「はい!」」
同行者は、直井コーチと俺の2人。こういうの人数制限もあるってどこかで聞いたことがあるが、こんなに少なくていいのだろうか。そう思いながら、言われるがまま指示に従おうと救急隊員の後について行こうと足を動かしかけた。
「……………………夜久、」
「ああ」
すると取り乱していた数秒前とは違う、いや、いつもの落ち着きを取り戻した黒尾が俺の名前を呼んで、肩に手を置いた。
「…………………Aのこと、頼むぞ、……ッッ!」
まるで同行出来ないことに対して悔しさを隠そうともせずに。
絞り出すような声で、そう俺に託してくれた。
「っ!、ああ…任せろ……!!」
少しでもそぞろになってしまっている気を落ち着かせて欲しくて、黒尾の手に己の手を重ねて返事をした。
「夜久、行くぞ!」
「はい、っ!」
直井コーチに呼ばれて、俺は黒尾の横を歩き始めた。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時