【HQ】ヘーゼル色の光・3【夜久衛輔】 (ページ12)

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＊25-3. ページ12

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不純な物など何一つない。
懇切丁寧に神様に作られた存在。

……だがそれに対する試練を与えてきたかのような。

俺らでは想像も出来ないほどの血腥(ちなまぐさ)い努力の末に、俺らと接してくれている今のAがいるのだろう。そう思わせる程の、だけどもやはり想像を絶するほど痛々しい跡が沢山残ってしまっていた。

皮が剥けた上にさらに剥けて出血していたのであろう根が深い瘡蓋(かさぶた)のようなものが、小指やそれ以外の足の指全てのつけ根にも大小それぞれ数多くある。

小指の爪は未だに血が溜まってしまっているのか、両方とも赤黒く変色していた。爪の長さも他と比べて短く止まってしまっている。とにかく小指に負担がかかっていたらしい。マメが幾重にも重なってしまっていたのか、小指の皮が他の指と比べてかなり皮が厚くなってしまっていた。

それ以外の両足の指も何度も痛めていたんだろう、全体的に皮膚が赤くなっていて、親指には小指とはまた違ったダメージをダイレクトに感じやすいのか、未だ根元部分に絆創膏が巻き付けられてある。全ての爪の側面の皮は、まるで八重桜みたく幾重にも剥けてしまっていて、恐ろしいほど痛々しいの一言に全てが尽きる。

きっと本当に自分に合わないシューズを履いていたのだろう、靴とそうでない部分の境目だったのであろう、足の甲のよく見える部分は靴擦れを起こした痕が痛々しそうにくっきりと残っていた。今見えていないが、きっと踵の部分にもその痛々しい痕が残ってるだろうな……。

『──────自分に合わないトウシューズを履いて踊ると、本当に痛くて痛くてたまらないんだよ。冗談抜きで合わないトウシューズは履いた瞬間に分かるものなんだけど、そうじゃない場合もあるからさ。私も自分に合うトウシューズを見つけるまでは少しだけど苦労したなぁ……、』

(─────どこが少し、なんだよ。)
この前渋谷に遊びに行ってスポーツショップに行くまでの道のりで、俺ら3人がトウシューズのことについてAに聞いた。その時Aはそう言ったが、少しどころじゃねぇよこんなのと更に心の中で毒づいてしまう。それほどなまでの、痛々しい痕だった。言われた通り一瞬しか見なかったが、それでも鮮烈な程に脳裏に焼き付けるには十分すぎるものだった。