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「─────空いてるお好きなお席へどうぞ」
ただ黙ってついていくことものの数分。喫茶店までの道のりに、会話は何一つなかった。
高校の最寄り駅とかなり近いところに、季節の植物や花を入口に飾ってある喫茶店を見つけてそこに2人で入る。高校までの道とは反対方向にあるから初めて知った場所だった。
決して広いとは言えない店内には、常連客であろう客がチラホラいて、本を読んだり一緒に来ている客とお喋りを楽しんでいたりしていた。
コーヒー特有のほろ苦くも香り高い匂いがこの店内にいる人間全員を包み込み、店内を照らす電球色と絶妙な暗さ、複数置かれてあるアンティーク調の小物や動物の人形らが、いかにも『喫茶店』というひとつの文化を織り成していた。
そんな文化の権化の中に部活帰りに制服で乗り込む私達、ある意味アウェイなのでは。近くにマックもファミレスも、なんならスタバもないのは、中々高校生の敵ではないだろうか。
空いていたベルベット調のソファ席に荷物を置きながら腰掛ける。
私達が座ったのを見計らって、服装や髪型を見るからに読モでもやっているのか、それとも実は芸能界に関わっているような人なのか、センスの塊が擬人化したみたいな……。
とにかくイケメンな店員さんが、お通しであろう輪切りのバナナと少しのナッツを乗せたお皿を2つと、お店手作りのメニュー表を持ってきて下さる。
衛輔にもきちんと見えるよう、見開きのメニュー表を横向きにおいて、互いにメニュー表を覗き込んだ。
「すげぇな、ここ紅茶も沢山あるぞ」
「コーヒー&ティーって、入口にも書いてあったもんね。こんなに紅茶も多い喫茶店ありそうでないから嬉しい」
「こういうとこって珈琲メインみたいな偏見あるよな。前から所々思ってたけど、Aってやっぱ紅茶派?」
「紅茶派だね。珈琲も飲めないことはないし好きだけど、やっぱり私は紅茶の方が好き。カフェイン気になるようだったらハーブティー飲めばいいし。珈琲もデカフェやノンカフェインがあるのは知ってるけどね。」
「そうか。……お、ハーブティーあるみたいだぞ」
「わ、ホントだ。どうしようかな」
複数種類の珈琲や紅茶、ハーブティやクリームソーダや珈琲フロートコーラフロートなど、予想よりかなり多く飲み物を展開していて、正直見応えがある。
どうしようか悩んでいる中、衛輔は既に頼むものを決めたのか私の反応を見つつメニュー表を覗き込んでいる。
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時