【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ7)

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(……衛輔達だって…、いきなり先輩方が引退するって言われて、自分達が引っ張っていかなきゃって思って、少し緊張感持ってるに違いない。なのにマネージャーの私が弱ってたら、ダメじゃん………！)

私が衛輔達部員の立場なら、『お前が弱るなよ』なんて最初に思ってしまう。自己中と言われればそれまでだけど。相談してくれて、自分の言葉で負担が軽くなるのなら良い。
それであったとしても、私はまずそんな酷な感想を抱いてしまうだろう。自分ならこう思うからこそ、悟られたくない。

「…………少し、疲れてただけだよ」
「違うな」
「顔に出やすいから」
「顔に出やすいのは前から知ってっけど、そういう表情じゃなかったからこっちは聞いてんだろ」
「だから──────」

「───────俺には話せねぇってか？」
「！そういう訳じゃ─────」

「──────なら話は決まりだ。道端だと暗いし夜だし、ベンチに座るにしても近くにベンチもねぇからどこか近くの喫茶店にでも入んぞ。悪ぃけど拒否権なしな。拒否権ない代わりに、Aの話を聞いて、Aの家まで送ってく。いいな？」
「ッッ、…………………。」

ほら、行くぞ。
そう声をかける衛輔に対して、ただ黙って頷く。

悪足掻きで、目の前でダッシュして家まで逃げるようにして帰ってやろうか。

「走って逃げようなんて思うなよ。Aが今激しい運動出来ねぇのも知ってるし、Aが逃げても俺は間違いなく追いつける」

最後の安直すぎる悪足掻きは、衛輔に容易く見抜かれていたようだった。
彼の言う通り、激しい運動を禁じられているこの身体は、少し走っただけで肩で息をしてしまうほどの身体になってしまっているし、現役運動部の衛輔相手じゃ間違いなく追いつかれる。
衛輔の脚が速いのは、体育祭でクラス対抗リレーと組対抗リレーにどっちも出ていたから知ってる。

衛輔について行くかのように、ただもう彼の横を歩くことしか出来なかった。