*12-3. ページ6
・
「は……?苦しそうな表情?」
あ、これ、ダメなやつだ。
衛輔に余計な心配をかけたくない一心で、いつも通りを装って笑いながら答える。
「何言ってんの衛輔、普通に話してただけだよ」
これ以上君といたら、先輩と話していた時に抱えてしまったナーバスな気持ちがフツフツと蘇ってきて、溢れてしまいそうになる。
………心配、かけたくない。
衛輔や鉄君、信君、ケンマ、トラ、フク。
部員の皆に、マネージャーごときの不安な気持ちなんて知って欲しくない。
皆にはただ、ボールを追いかけて繋いで、沢山たくさん試合をして勝ち進んでほしい。
そして叶うことならば、悲願である『全国制覇』を成し遂げて欲しい。
「それだけだったらあんな表情にならねぇよ普通」
「っ、私の言葉聞いてた?ただマネージャーになってくれてありがとうなって言われて─────」
「─────聞いてた」
「ッ!聞いてたなら答えてるじゃん!ただ話してただけだって!」
「そう躍起になってんのは何か言いたくねぇ事がある証拠だ。何があったのか言えよ」
「は、……!?っ………、…!!!」
自分の頭に血が上ってしまっているのがわかる。対して衛輔は自分とは正反対に淡々としていて、自分が本当の事を言うまで諦める気配すらない。
……言えない。
言える、訳がない。
自分がマネージャーとして入部してしまったせいで、先輩方が引退のタイミングを早めてしまったのかも、そう思ってしまったなんて。
部を引っ張る先輩方はまだいてくれるものだと当たり前のように思っていたのに、それが突然1学期終わりと同時に自分達が部を引っ張らなくてはならなくなった事に、少し不安を覚えてしまってた。
3人を頼りないと思ってる訳じゃない。
むしろ誰よりも頼り甲斐がある。3人が引っ張る"護りの音駒"を誰よりも傍で見たいと心の底から思う。
ただ、ただ。
マネージャーとして出来ることをもっと増やしていかなくてはならないと思っていた時に先輩方の引退を突きつけられて、どこか焦ってしまってる自分がいること。
それを、話してしまったら、
何故だろう、ダメな気がしているんだ。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
111人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時