【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ39)

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＊20-1. ページ39

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───────水春は確信した。

Aの、夜久を語る時の目が、過去にAが何回か誰かを恋愛感情の意味で好きになっていた時の目と同じ、いや間違いなく、それ以上の想いを抱えていることに。

黒髪と一緒に誂えたかのような黒い真珠のような深みのある瞳に、人に対する慈愛だけではなくどこか切なそうな色を帯びていた。

「は、……………………ッッ！？」

(あ、珍しい。顔赤くなった。)
顔を赤くするくらいの出来事があれば、Aにはどうやら『見られたくない』という感情が先に働くようで、赤くなると同時にそれを上手く隠すことを水春は知ってる。まぁ確かに、人を寄せ付けない美人がこんなに顔を赤くしていたら、男達、いや同性愛の気配がある女達も一発で落ちるだろう。
好きな人にだけは見せてやれ、秒で落とせるから。

だが水春の前ではずっと仲が良い親友ということもあってか、それを隠すことはしなかったので、水春はそれに対して優越感に浸りながらも、数少ないAの赤面を見てニマニマした。

「は、って、え、なに、自覚なかったの」
「いや、衛輔は、私をマネージャーに誘ってくれて、っその、音駒の勝利のために、マネ業で恩返し、ッしたいから、その……」
「待って、こんな戸惑ってるAレア過ぎる可愛い。夜久さん今すぐこの顔見てくれ夜久さん」
「ばっ！ねぇ衛輔関係ない！可愛いのは水春でしょ！」
「嬉しいけど今のAはいつものAとは違う栄養素がある」
「何言ってるのもう、っと、とにかく！その、衛輔をそういう目で見てるわけじゃなくて、」

(おいおいおいおい、まさか認めない、認めたくないって、コト……！？)
どこかのゆるきゃら漫画のキャラみたいな口調で、水春は心の中で叫ぶ。こんなに顔を赤くして戸惑いながらも全力で否定する辺り、これは恋していて間違いない。

「お、A顔赤いじゃん。どうしたの〜？」
「お疲れ様！あれ、何なに恋バナ〜？」
「雪絵先輩、かおり先輩！お疲れ様です！そうです恋バナです！」
「や、！ちが！」

湯気をほかほかと立ち上らせながら、梟谷のマネージャーでありAと同い年の雪絵とかおりは、水春が恋バナと断言した瞬間に目の色を変えて2人の元へ近寄って腰掛けた。