*19-2. ページ35
・
──────来年、決定力をぶち上げてくれるとんでも1年が入ってくれないかなぁ〜〜〜!!!
というほぼ現実逃避に近い、叶うか分からない戯言を心の中で叫ぶように呟いた。現実になってくれたら、何か手作り菓子でも作って皆に振る舞おうか。お菓子作り苦手だから無理だけど。
「フライング1周ーーー!」
生川相手にデュースに持ち込み、もれなく勝利したらしい。考え事をしながら、レシーブを誰が何本取ったか誰がスパイクを決めたか記録をつけてしまっていた。きちんと相手の動きや戦術を見極めないといけないと思っていたのに。
梟谷に対しての悔しさと凄さを忘れるように首を左右に振ってから、青のビブスを着用している皆にドリンクとタオルを渡す準備を始めた。
「──────ふぅ〜〜〜!お風呂生き返る……」
マネージャー組6人が睡眠を取る時に使う部屋に戻り、ドライヤーで髪を乾かす前にスキンケアを始める。交代交代で入浴しているため、今部屋にいるのは水春と私の2人だけである。
「あ、A〜お疲れ!」
「水春もお疲れ様。梟谷のマネージャー、大変でしょ?」
「まぁ最初は大変だったけど慣れたよね。あとやっぱ京治君いるし…!!!」
「やっぱり?ベンチから見てても思ったけど、赤葦にアタックしてるの?」
「そりゃあ…もう……!一目惚れですから……!!」
「一目惚れ!?マジ!?」
こんなに可愛い子に一目惚れさせてしまう赤葦京治、何者なんだ。そしてまだ付き合ってもいない状態とは。私がアタックされたら秒でOKしてしまうぞ。
まぁあの落ち着き様とどこか感じる色気は、正直1つ下の高1とは思えない。その色気寄越して欲しいと思うが、同時に扱える自信がないのは誰が見ても分かるだろう。
日中の熱にさらされた肌を冷たい化粧水が労わるように冷やしていく。ある程度潤ったところでビタミンC美容液を垂らして塗り、乳液でそれらの成分を無駄にしないよう優しく閉じ込める。乳液で閉じ込めて仕上げをする感覚は、その日の疲れを忘れさせてくれるから結構好きだ。
スキンケアの情緒に浸っていながらも、隣の水春は黄色い声で赤葦の話を私に聞かせてくれていた。
「そう!聞いて欲しいの!てか聞いて!!」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
111人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時