【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ34)

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────────梟谷グループとの1週間の合宿も、あと3日となった。

1人でこなしていたマネージャーの仕事が、他の高校とは言えども同じマネージャーの仕事を分担してこなしていくという音駒高校にいる時では出来ない連携行動に感動と新鮮さ、そして心強さを覚えた。

逆に4つの高校が集まっていることから、特にドリンク作りには骨が折れたけれども、水春を始めとして同じマネージャーが5人もいてくれたし、マネージャーそれぞれがこなす仕事に対してどのように動いているのかも吸収することが出来ている。
自分なら考えつかないような簡単なやり方で記録を纏めていたり、タオル畳みやドリンク作りのスピードだったり、選手達の扱いであったり。
毎日がたくさんマネージャーとして学べることが多くて、Aは誰が見ても生き生きしていた。

「───────梟谷、やっぱ強いな……」

今までの戦績を纏め終えた直後、Aは深いため息をついた。
梟谷相手には中々勝ち星を上げられていないのが現実で、理由はオフェンス……攻撃力および決定力であることが、バレー経験皆無であるAでも分かってしまっていた。
対して梟谷は、木兎というとんでもないWS(ウィングスパイカー)がいる。全国５本の指に入るスパイカーと謳われているらしく、その威力のあるストレートは見ているこちらもビリビリと迫力が感電するかのように伝わってくる。
その木兎の実力をほぼ100%引き出すようなセッティングをしてくるS(セッター)が、水春と同い年の1年赤葦。

(正直、他のメンバーももちろんだけど、あの赤葦があまりにも気遣い出来すぎる上に実力も確かだからこそ、木兎が活きてるんだよな……)

木兎の弱点を挙げるとすれば、今まで見てきたプレイヤーの中で1番気分の浮き沈みがプレーに影響するタイプであることだ。そのデメリットを見事なまでにカバーしているのが、赤葦も含めた梟谷全員のメンバーなのだ。そこにかおりも雪絵も水春もいて、私が音駒の皆にやっていなかったことだったと気付かされた。

きっと、相手に木兎のテンションが沈んだところを狙われるのは、監督やコーチ含め梟谷全員が構えていることなのだろう。木兎が扱いやすいのか逆によく分からないのかそこは梟谷メンバーのみぞ知るだろうが、それすら武器のように見えてしまって、敵としては凄く悔しいけれど、認めざるを得ない。

「……あーーーーー………。」