【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ30)

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＊18-1. ページ30

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「いやぁ〜予想以上に見応えあったわ、ネコとカラスのゴミ捨て場の決闘！」
「動物がじゃれてるだけでも癒されるのに、何気バッチバチのバトルしてるのがもう最高に面白かった」
「なんか上からフクロウいたよな、フクロウの眼圧が強くて笑っちまった」
「傍観してたよな、2匹ほど。猛禽類出てくると思わなくてビックリした。」

映画の感想を言いながら、夜久が寄りたいと言っていた渋谷に拠点をおく大きなスポーツショップへと一同は向かう。陽炎揺らめく炎天下とは言えども、映画を観終わった後であることから、夕方に差し掛かっていた。橙色の夕陽が夏特有の熱を持ち合わせながら4人を照らしていた。

「何買う予定なの？衛輔」
「シューズ。合宿の後のオフで買おうかと思ってたんだが、外に出る予定が今日出来たからな。早い方がいいかと思ったし、合宿で履き慣らし始めるのもアリカと思ってよ」
「なるほど。理由が衛輔らしい。靴って本当に大事だよね。パフォーマンスが全部決まってしまう」

武道は足袋や素足の場合があるけれど、それ以外のスポーツでは大概靴を履くと思う。その靴が合うか合わないか、使い切りすぎてないか否か、逆に新しすぎて履きなれてないかとかで、選手の動きを左右してしまう。
自分も舞台の本番前では万が一を備えてどのトウシューズでも大丈夫なように、潰さない程度に履き慣らして備えていた記憶に対して、懐かしさと物悲しい想いを馳せた。

「─────お、着いた」
「でっかいショップですね衛輔さん！？いつもここで買っておいでですか！？」
「俺がよく履いてるメーカーの新作がいち早く入荷されてんのがこの店でさ、いつもはバレー始めてからずっと馴染みの店で買ってるぜ」
「馴染みの店……なんかプロっぽい………」
「？黒尾と海もそんなもんだろうし、」

大きなスポーツショップの入口を通りながら、鉄君と信君の顔を見上げると二人とも頷いていた。なんや、皆プロか？

「Aもバレエやってた頃は馴染みというか贔屓にしてたメーカーあったんじゃねぇの？」
「っなるほどそう来たか。例え方がとても上手いね衛輔。そうだったわ、練習着にはさほどこだわりはなかったけど、トウシューズと、トウシューズ履くための備品は『このメーカーのこれじゃないと！』てあったわ。やだ、運動してたのにめちゃくちゃ抜けてた」
「いやいや大丈夫だよ、気にすんな！」