【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ25)

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ホットビューラーを温めている間に黒のマスカラを上下に好きなだけ塗りたくる。塗るとかじゃない、塗りたくるんです。恐れるな、塗りたくれ。
このマスカラ自体ダマになりにくいし、なったとしてもホットビューラーの熱でダマがログアウトするのでOK。

上下塗って乾かしている間にリップを塗る。クリア感のある赤色のティントリップだ。韓国のコスメブランドから出ているティントリップで、色持ちがえげつないほどに凄く良いから最近のお気に入り。匂いも好きだし、舐めてしまう時の味も美味しいので(？)。

ホットビューラーで余分についたマスカラをログアウトさせて、カールの形をキープさせるために梳かし上げた。

「……お。結構盛れてる。めちゃくちゃ美人すぎない？私」

すっぴんの顔も悪くないと思うが、メイクした時の自分の顔はとても好きだ。自己肯定感なんて高くして生きていかないと。可愛い子や美人さんなんてこの世にごまんといるし、これくらい自分を褒めるくらいしてもバチは当たらないと思う。好きな見た目に仕立て上げることが出来た時の達成感は、QOLが上がるような心地だ。

メイクをし終えて鏡で自分の顔を確認し、自分の部屋を出る準備をしていたらお腹の虫が飢えたように声を上げる。
父親のお下がりである、古い型のスマートウォッチで時間を見ると、いつの間にか12:00になっていた。

「じゃあお母さん、そろそろ出るね」
「まぁAちゃん！メイクしたの！？うちの可愛いAお嬢さんはメイクが上手だわ〜！今日のメイク、睫毛とアイラインが凄く際立っていて素敵！お洋服もAちゃんだからこそ着こなせてるわ〜！」
「可愛いお母さんにそう言われると自信になるなぁ。ありがとう」
「冷士さんと私の子どもだし、こんなに美人さんに育ったんだもの！そんな美人さんが自分に似合うメイクしてて、似合うお洋服着てるなんて、母としては褒めなくちゃ！！あぁ〜、夜久君達が惚れちゃわないか心配！まぁあの3人の誰かなら、お母さん安心してお嫁に出せるわぁ〜！」
「あは！何言ってるのお母さん！惚れるどころか結婚なんて！なわけないでしょ！！」
「あらぁ人生どうなるか分からないものよ〜！気をつけていってらっしゃい！」

私の自己肯定感の高さは、この沢山褒めてくれる可愛さ満載の母親の影響だろう。時に厳しいことも言ってくれるが、大概は褒めてくれる。
そう思いながら、身長詐欺のためによく履いている10cm厚底靴を履いて、玄関のドアを開けた。