【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ17)

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見た目が整いすぎて怖いのは事実だし現在進行形で抱えている印象だが、話せばどうやら良い人柄を持ち合わせているらしい。クラスメイトの女子とも楽しそうな時間を過ごしていたり、ツボが浅いらしく爆笑している姿を割とよく見かける。

習い事をしていて大変だろうに、成績は良いのを俺は知っている。それを自慢することは全くないことも合わせてだ。
1度英語のテスト返却の時、返却前に言われたクラス最高点数と同じ点数を叩き出している解答用紙を、周りに見えないよう点数部分を折りながら席に戻っているのを見かけた。

テスト前になると、よくクラスメイトの女子に勉強を教えている。近くの席になった時、机にうつ伏せて寝たフリをしながらその説明に耳を澄ませていると、1人1人教える相手に合わせて例え方を変えて説明している。
ビックリしたのが、歴史の出来事をアニメキャラに例えて説明をしていて、アニメ好きな相手だったのだろう、一発で理解していた。たまたま弟達と一緒に見ていたアニメのキャラだったから、俺も一発で理解したし、テストで正解をもらった。
頭の良い人、仕事が出来る人は相手に伝わる説明の仕方をすると聞いたことがあるが、まさにこれなのだろう。

でも、意外と授業中眠そうにしている。結構可愛い。
多分、クラスの男子は皆思ってるだろう。思ってなければ男じゃねぇと強く言えるレベルだ。
完璧……そんな言葉が似合う彼女が唯一見せてくれる隙のように感じて、その綺麗な黒髪を揺らして船を漕ぐ姿を見ながら授業を受けるのが、部活以外の、俺のささやかな楽しみでもある。

神様という存在がこの世にあるとするならば、
その神様が懇切丁寧に大切に創った存在。
それが雪月Aという存在なのだろう。
見目麗しく、周りの目を引き、
その周りに対して不快感を与えるどころか、
好感を寄せて愛されるような存在。

鈴が転がるような心地の良い、だけども通る声でクラスメイトと笑い合っているAを遠くから見て、俺はそう思うことが多かった。