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「はい、ありがとう。次、雪月ー、」
「はい。」
初めて声を聞いた。芯の強そうな見た目通りの通る声。
少し予想外だったことを挙げるとすれば、思っていたより声のボリュームが出ていたことだ。
座っているだけでも他の奴らと比べて姿勢が良いのに、席から立つ動作と歩く姿は他の奴らとどこか違った。何が違うのだろうか、と半ば興味を持ち始めた時に、その通る声で自己紹介が始まった。
「雪月Aです。
(クラシックバレエ…、爪先で立って踊るやつか……!てか彗京中って金持ちが行くとこじゃねぇか………!!)
ぺこりと頭を下げるその動作ですら、ピンと張られた糸のように姿勢が良く、周りと違う雰囲気を纏っているのと先程抱いた興味の答えとが、そのクラシックバレエをしているからなのだとそこで分かった。
これまで自分の周りにはそんな習い事している奴はいなかったから、最初に見た印象と相まって尚更強く印象に残っていた。
周りも俺と似たような思考回路の末に彼女の印象を抱いていたのか、ザワザワ近くの席のクラスメイトに耳打ちしたり独り言を呟いたりそれぞれ反応を見せていた。
「「「──────さようなら」」」
終礼の終わりである挨拶の後、それぞれクラスメイトと駄弁るなり部活に向かうなり動き始める。
少し遠くの席のAは、いつもよりもやたら多い荷物を手一杯抱えて、早足で教室の出口へと向かっていた。
「あっ!A〜!今日もバレエの練習?」
「そうだよ!発表会前だからさ!」
「再来週の日曜だもんね!観に行くの楽しみ!」
「良いもの観れたなって思うよう頑張るし、ソロで踊るの私の得意な役柄だからさ!もっと楽しみにしてて!バイバイ!!」
男子や同じバレー部だが他クラスの黒尾・海ばかりとつるんでるから、目を引くAの存在はどこか遠くから何となく近況を知るだけだった。
舞台前らしく、高校から直接練習に行けるように用具を一式持ってきているみたいだ。昨日は興味津々な女子達に、Aが使っているであろう硬そうなトウシューズを見せているのが少しだけ見えた。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時