【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ14)

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目頭が熱くなった、視界がぼやりと滲んでしまっていると気づいた時にはもう遅くて、右目から涙が零れ落ちてしまっていた。

「わ、……ッ、ごめ、」
「っ！？A！？俺泣くほど嫌なこと言ったか！？悪ぃそういうつもりじゃなくて─────」
「─────違うッ、！！」

思わず涙を流してしまった自分を見て、衛輔は慌ててカバンの中から急いでハンカチを取り出して渡しかけたのを、こちらも急いでそれを遮る。

「……ッﾞ。……、右目から流れる涙の意味、衛輔は知ってる？」
「え、意味なんてあるのか？」

「────右目から流れる涙は、……嬉し涙、なんだよ。」
「っ、それって……」
「ただ話を聞いてくれるだけでも、胸の奥のつかえが……っ、取れるような感じで、すっごく嬉しかったのに、まさかさぁ……ッ、全部、っﾞ、…ぜんぶ受け止めてくれる、なんて、思ってなかったから、それが嬉しくて、うれしくてたまらない」

ありがとう。
もはや嗚咽と変わらない中、最後に言わなくてはならないと思った言葉を、精一杯声に乗せて衛輔へと送る。
ただ、衛輔の言葉が凄く嬉しかったのだと伝われば良い、それだけを思った。

「そうか」
「ぅﾞん…………ッッごめ、涙とまんない、」

安心したのか、嬉しかったのか。
どちらにせよ、それは幸せを意味する涙であることに変わりない。とめどなく頬を伝い落ちる涙に困惑していたら、目の前の彼はいつものように笑った。

「はは、！Aって意外と泣き虫なんだな！」
「っ！そうだよ、！涙脆くはないけどさぁ！！昔から結構泣く方だよ、！！」
「ははは！いい加減泣きやめ、明日目が腫れちまうぞ？ほらハンカチ貸すから。あ、おしぼりの方がいいか？」
「ぅﾞッッ、……っ！おしぼりがいいﾞ、」
「ふは、！分かった分かった、聞いてみっから！とりあえず今はこれ使えよ」
「うﾞわぁ〜っ、完全に、末っ子扱いだぁぁ……ッ、ッﾞ、」
「実際俺より4ヶ月と6日年下だろ？」
「そうだけど……ッﾞ！ぅぅ………、っ、！！」

どうやら温かいおしぼりが用意されてたらしく、店員さんから受け取ってくれたおしぼりを衛輔から受け取って目元に押し当てる。

あまりにも私が泣いていたから、衛輔が隣に来て笑いながら背中をさすってくれた。本当に扱いが末っ子のそれである。

涙が止まらないうちにいつの間にか衛輔が会計をしれっと済ませていて、後は私の涙が引っ込むのを待つだけという状態になっていたと知るのは、お店を出た後であった。