*14-3. ページ13
・
「……話は分かった。」
私がハーブティーを一口飲んだのを見てから、これに倣うかのように衛輔も差されているストローでアイスコーヒーを一口啜る。
高さのあるグラスをテーブルの上に置いて、1度衛輔は私の名前を呼んだ。
「今から話すのは俺の考えでもあるけど、きっと俺以外の奴も同じことを考えるだろうから、そのつもりで聞いてくれ」
私が1度確認を仰いだような感覚で、衛輔は間を作って私の目を見据える。私が頷いたのを見て、彼は薄い唇を開けて言葉を発した。
「──────まず、俺らは皆『マネージャーごとき』なんて思ってねぇ。これは自信を持って断言する。先輩もきっと言っただろうが、皆Aに感謝してんだよ。そこは理解してほしいし、今後『マネージャーごとき』なんて言ったら俺怒るからな。俺だけじゃなくて、黒尾と海も、皆も間違いなく怒るぞ。」
「それと、Aが先輩の引退や今後のことに責任を感じる必要はねぇ。むしろ責任を感じなくちゃならねぇのは俺達の方だ。」
「先輩が引退することに対して焦りや不安を覚えちまってるのに対して、端から『思わなくていい!』なんて、俺は言えねぇよ。1度思っちまったら、そう簡単に消えてくれないのを俺は知ってっから。だからA───────」
「───────怖いとか不安とかそういうの、全部ぶつけろ。」
「それら全部とっぱらって、俺ら"護りの音駒"が全国制覇するところ、傍で見届けてくれ。」
「ッ……〜〜〜〜〜!!!!!」
「どうしても皆に言えない、言いづらいとかあれば、そん時は俺だけで構わねぇ。Aをマネージャーに誘ったのは俺だし、それくらい当然の責務だ。仮に誘ってなかったとしても同じことをAに言ってる。俺、受け止めるの得意なんだ。知ってるだろ?」
まるで強烈なサーブをふわりと宙へ上げて、ボールを繋いで、そして1点入った時のような笑顔で、衛輔はそう言ってくれた。
こんなに、こんなにも。
誠実で真摯で、そして勇気づけてくれる言葉で。ナーバスだった気持ちを受け止めてくれるなんて、思っていなかったから。
鎖でガチガチに巻き付けられていたような、苦しくて動けないような冷たい心地だったのに、まるで嘘のように胸の奥が温かい。鎖を全て断ち切って、肌触りの良いブランケットをそっと後ろからかけてくれるような心地だ。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
111人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時