【HQ】ヘーゼル色の光・2【夜久衛輔】 (ページ12)

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「分かってるんだよ。きっと先輩は善意と感謝で言ってくれたってことも。」
「先輩方の言うマネ業が皆の力になれてるのなら私は何よりだし、今以上にもっと力になれる術があるのなら、私に出来るのなら全てやりたいと思ってる。」
「マネージャーとして出来ることをもっと増やしていかなくちゃって思ってた時に、まだいてくれるものだと当たり前のように思っていた先輩方の引退を突きつけられて、どこか焦ってしまってる自分がいるってことも。」
「自分達が引退するまで、部を引っ張らなくてはならなくなった事に、少し不安を覚えてしまってた。衛輔、鉄君、信君の3人を頼りないと思ってる訳じゃないの、むしろ誰よりも頼り甲斐があると思ってる。3人が引っ張る"護りの音駒"を誰よりも傍で見たいと心の底から本気で思ってる。」
「ただ……。ただ…、衛輔、鉄君、信君…、ケンマ、トラ、フク……。皆に、マネージャーごときの不安とか焦りとか、そんなナーバスな気持ちなんて知って欲しくない。皆には、ただボールを追いかけて繋いで、沢山たくさん試合をして勝ち進んで欲しい。勝ち負け関わらず色んな事を経験してほしいとも思ってる。1番多く試合ができるのは、1番多く勝ってるチームだから。」
「その試合に臨むのは皆なのに、私が臨む訳じゃないのに、こんなナーバスな気持ちになったらダメだって……。」
「………………。」

堰を切ったように溢れ出してしまった、とっちらかった感情を、衛輔はただ黙って聞いてくれている。そんな彼に、こんなよく分からない話を聞かせてしまったことへの申し訳なさが今度は生まれてしまって、誤魔化すように口角を無理やり上げた。

「なんか、先輩の善意を変な方向で受け取ってしまって、そこからネガティヴに考えてしまってたね……。最初にも言ったけれど、ごめんなさい。言い訳になるけど、いつもならこんなナーバスに考え込まないタイプだから…。今回だけだから。だから、ごめん」

手にしている調度品のようなティーカップは、未だじんわりと温かいままで、冷たくなっている手先の温度を緩やかに上げようと熱を移してくれる。
全てを話してしまったせいか、異常な程に喉の乾きを覚えて、さっきより少し多めに口に含んで喉へ流した。

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