*14-1. ページ11
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「──────まずは、心配かけてごめんなさい」
震わせた喉から発することが出来たのは、まず謝罪の言葉だった。これから話す前に先に言わないと気が済まないと思ったから。
「先輩にね、引退のこと驚かせてしまった?て聞かれてさ。まぁ驚いたのは事実だけど、いつかは訪れることだったから包み隠さず本音を言った。その後の話は、『ここだけの話なんだけど』って言われたから、先輩方の前では一応知らない風に装ってくれる?」
自分の目をじいっと真っ直ぐ捉えて話を聞いてくれる彼に、1度確認を仰ぐ。すると おう と言いながら力強く頷いてくれた。真剣な面持ちで聞いてくれていることが、今の私にとっては何よりも有難い。
「私が、……私がマネージャーとして入部したから、自分達はこのタイミングで引退して、鉄君達に早く任せようと思ったって言われたんだよね。」
「……。」
「私がマネージャーとしてやっている色んな仕事を『献身的』って先輩褒めてくれてさ。鉄君達3人が引っ張るチームに、その献身的なマネ業が加われば、過去最高の"護りの音駒"になれると思うって。それに早く慣れさせるために、このタイミングで引退しようって決めたんだって言われて。」
ずっと手に握るように触れていたティーカップを持ち上げて、中身を少しだけ口にする。
ここから自分がどう思ってしまったのか。衛輔が聞きたいであろうことをこれから自分が話すのだ。
軽く息を吐いてから、再度向き合ってくれるヘーゼル色の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「……私が、マネージャーとして入ってなかったら、先輩方は冬までいたってことなのかなって、思ってしまった」
「…………。そうか。」
ただ、ゆっくりと。
衛輔はいつもより1文字ずつ丁寧に声にするかのように相槌をしてくれた。
深い感情をたった1つ吐き出して、そんな丁寧な相槌を打たれては、まるで堰を切ったように溢れ出して止まらなくなった。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月14日 2時