一問一答、一目惚れ。【荒北靖友】

好きな食べ物なんですか ページ7

昨日は晴れて荒北さんの名前を知ることに成功した。荒北靖友、それが荒北さんの名前らしい。下の名前の、靖友の靖には周りの人を穏やかにする。という意味があるらしいが、果たして荒北さんは名は体を表す人なのだろうか。私には知らないことがいっぱいだ。



　「ねぇ、今日も食堂？」


　猫目がいつもの様に肩をつついて話しかけてくる。食堂に荒北さんが居ると知った私は当たり前に行くつもりでいた。


　「うん、そう。猫目は？」
　「アタシも」


　猫目がへらり、と笑ってカバンから財布を取り出す。さて、今日は荒北さんに何を聞こう。



･･･



　「おはようございます」
　「はよー……」


　またコイツか、というように眉を顰めて荒北さんが返事をしてくれる。好きな人から返事がくる、ということはこんなに幸せな事なんだなぁ。と思った。


　「荒北さん、何食べてるんですか？」
　「唐揚げ定食」
　「へぇ〜……。荒北さんの好きな食べ物はなんですか？」
　「唐揚げェ」
　「ああそれで」


　荒北さんは唐揚げが好きらしい。だから今日は唐揚げ定食なのかと納得した。


　「荒北、荒北」


　と、荒北さんの名前を呼びながら登場したのは東堂さん。て言うらしい人。私のことをチラリと見た後に、普通に席に座ってご飯を食べ始めた。なんで見た？


　「荒北さん、ありがとうございました。また明日来ますね」


　荒北さんの元へ自転車部の部員も集まってきた事だし、お邪魔しないよう私はそう挨拶をして猫目の元へと戻った。


　「荒北さんって唐揚げ好きなんだって」
　「へぇ〜」
　「下の名前は靖友」
　「マ？いい名前じゃんかっこい〜」


　猫目に私の知っている荒北さんの情報を話すと、スマホを弄りながらも返事をしてくれる。持つべきものは友だな。と、思った。



･･･



　さて、私はこの箱根学園の寮に住んでいるわけだが。正確に言えば今週の土曜日に家から荷物を運び込んで月曜日から住み始めるわけだが。どうやら猫目も寮らしく、楽しく過ごせるだろうとワクワクしている次第なわけだが。
　風の噂に聞いたところ、荒北さんもなんと寮に住んでいるらしい。つまりは同じ敷地内で一夜を共にしているわけだ。
　……あれ、これつまり結婚じゃない？ 同棲してない？
　私の中のいわゆる気持ち悪い部分がそう叫ぶのであった……。



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猫目は主人公が第一印象で決めたあだ名です。考えるのがしんどかったので。多分愛花とかそんな感じの名前。

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ラッキーカラー

あずきいろ

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