え、 ページ16
金曜日。少し特別な日。明日と明後日は土日で休み。今から帰りが楽しみで仕方ない。
「猫目のさ、部屋行っていい？」
「なに急に。いいけど」
「お泊まりしたい」
「部屋同じ階じゃん」
同じ寮の同じ階に、奇跡的に配置された私と猫目。まぁ確かにすぐ近くだけど、それでも友達の部屋に泊まるという特別を私は味わいたかった。
･･･
「アンタ今日なんか変だね」
「エ、そう？ 別にいつもと変わらないけど」
「何がとかないけど、やっぱ変だよ」
熱でもあるんじゃない？ と言いながら猫目が私の額を触る。猫目の冷たい手が心地いい。
「ん〜、平熱？」
「ほら熱ないじゃん」
食堂の、いつも座る入って右側の端の席。そこで他愛のない会話をしていると、声をかけられた。
「佐藤」
「え、ア。荒北さん」
初めて荒北さんから話し掛けられた……！ 猫目にアイコンタクトを送る。猫目も驚いたようで、パッチリと開いた目を大きくさせていた。
「お前さァ下の名前何」
「……え？」
「だからァ、下の名前」
しかも質問までされてしまった。今日が命日なのだろうか。猫目は今日私が変だと言っていた。つまり、私は近いうちに死ぬのだろう。そして今日の天気は晴れ時々槍後雪、とかめちゃくちゃな天気になるだろう。
「A……です」
「A？」
「ハイ」
え、なんで名前。
「ふーん。そう」
困惑ながらにAと答えれば、凄く素っ気ない返事をして福富さんの待ついつもの机へと向かって行ってしまった。
「猫目、私死ぬのかな」
「大丈夫、呪いの手紙とかに使うのかもしれない」
「何もだいじょばないよね。私死ぬよね」
「死なない死なない。にしても驚いた」
驚いたのはこっちだ。猫目の数万倍は驚いているはずだ。まさかあの荒北さんが、私に興味を持ってくれるなんて。いや、少しおこがましいかな。と、考えていると、猫目に「……アンタなんか顔赤いよ」と言われる。
「いやそんなんあんなことあったらさ……」
と、興奮気味に返そうとすれば目眩。と、頭痛。最後にこれでもかとばかりの倦怠感。
総じて、完璧に風邪の症状だ。
「はい、明日のお泊まり会中止〜」
「そ、そんな……！ 慈悲を、お慈悲を……！」
猫目に「ねぇよンなもん」と一蹴されて、結局午後の授業は受けずに大人しく寮で寝ることとなった。
ーーーーー
やっと名前の機能が使えた……。
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しばた - 続きお願いします！ (7月18日 16時) (
レス) @page33 id: 1b4d124720 (このIDを非表示/違反報告)
敏腕プロデューサー(プロフ) - ひー&ラテさん» 何故かまた閲覧数が伸びてきているのでやれるだけやってみます……(. . `) (2021年8月12日 17時) (レス) id: fcb79e9045 (このIDを非表示/違反報告)
ひー&ラテ - 続きが凄く気になります！ (2021年8月12日 8時) (レス) id: fe37a82818 (このIDを非表示/違反報告)
敏腕プロデューサー(プロフ) - 桜音姫さん» 楽しみにしてくださっていたのに大変申し訳ございません……(. . `) (2021年8月12日 4時) (レス) id: fcb79e9045 (このIDを非表示/違反報告)
桜音姫(プロフ) - もう少しで完結しそうなので完結までいってほしかったのですが残念です(^_^;) (2021年8月11日 19時) (レス) id: 3bb8706b83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鳥居巫女 | 作成日時：2020年2月12日 2時
