一問一答、一目惚れ。【荒北靖友】

　たけのこ派です ページ13

朝、部活。終わりがけに福チャンに呼ばれた。


　「荒北」
　「なァにィ福チャン」
　「頼みがある」


　福チャンからの頼みと聞いて、断れるわけが無い。内容を言われる前に身体は素直にイイヨ！！！ と、言っていた。


　「なにすればイイの」
　「今日の放課後真波を連れてきてくれないか」
　「ア〜……あの不思議チャンね。ま、確かにどこに居るかわかんねェし俺が適任だろ」


　俺なら匂いでわかる。そう言えば福チャンはうんうん、と頷いていた。可愛いかよ。



･･･



　放課後。1年5組の前。隣をすれ違う1年共が尽く俺を避けていく。


　「おい、真波」


　ガラ、と無遠慮に扉を開けて声を出す。なんでバレたんだろう？ という顔で振り向く真波と、驚いた顔の女2人。なんて放課後部活に来ないで女侍らしてんだヨ。ぶっ殺すぞ。


　イライラして真波を軽く殴ろうとすると、突然女が「荒北さん！」と言う。ア、コイツ……アイツだ。


　「……エ、なにィ？ 真波コイツと同じクラスなのォ？」

　答えない真波。キョロキョロ周りを見回す女。猫目の女が持ってるお菓子のパッケージを見て一瞬止まったかと思えば、「荒北さんはきのこの山派ですか？ たけのこの里派ですか？」とか聞いてきやがる。真波テメェ無視すんな。


　それに、至極当然の疑問を浮かべながらたけのこ派と答えた俺はきっと天使やら聖女の類だと思う。


　女は満足そうな顔で気が合いますね。と、頷いていたが意味がわからない。猫目の女が女の方を信じられない、という目で見ていて、俺はコイツの方が気が合うんじゃねェかな。と思った。


　とここで真波。


　「ねぇ荒北さんなんで佐藤さんと知り合いなんですか〜？」


　真波テメェ先輩に向かってタメ口聞くな。てかこの女名前佐藤って言うのかよ。超普通の名前じゃねェか。あと真波俺の質問無視すんな。(2回目)



･･･



　真波のくだらねェ質問を無視し続ける。


　 「ま、いいや！ ところで先輩何の用ですか？」


　アレ？ そういえば俺なんでここにいるんだっけ。


　「ア……？……！！！……ア〜！！！ おい！ 福チャンが呼んでんだよ早く来い！！！」


　大事な大事な用を思い出して、焦って真波の首根っこを引っつかむ。


　「え、ちょっと先輩荷物……ま、引っ張らないでくださいよ〜！」


　まてまてまて、福チャン怒ってねェかなァ！！！？？ 最悪真波を生贄にしようと心に決めた。

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