悪役の方がいいでしょ？『文ストxヒロアカ』 (ページ34)

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３０＿真実ページ34

引き続き条野side

私の勘。

それはAさんが女性であるということ。

男性と女性では、少々の違いであれど、心音が少し違う。

女性の場合は少し遅く、男性の場合は少し早い。

Aさんは十分男性の筋肉量をしていたが、音は正直で、Aさんは女性ではないか

と思い始めていた。

私は盲目ゆえに実際の容姿はわからないが、周りの人が疑わないことから男性に近い容姿なのだろう。

…青い長い髪、というのは副長が言っていたので知っているが。

今彼、否、彼女の胸あたりの背中に巻かれた布に触れ、それが確信になった。

他の人には私が思っていたことを伝えていない。

万が一、本当に万が一間違っていればAさんに迷惑がかかってしまう。

すぐに寝巻きを着せ、横たわらせ、毛布をかぶせた。

…Aさんが女性。

本当に男性と思わせるような声に言葉使い、仕草、行動。

けれど私の耳は誤魔化せなかった。

…これでは私が女性の家へ躊躇なく、入ったことになるじゃないですか。

はぁ…

片手で顔を覆い、頭の中でため息をついた。

…気づいていないふりをしましょうか、それとも、言いましょうか。

そうですね…言って、この人の反応を聞きたいです。

悪戯心が疼いて、Aさんが起きた時に言おうと決めた。

…しかし彼女が起きるまで暇ですねぇ…

部屋の点検でもしましょうか。

私は寝室から出て、リビングへと向かった。

…リビングからは複数の機械音が聞こえた。

微かではあったが、私には普通に聞こえた。

ソファの中、ドアの上、冷蔵庫の裏、廊下の上の隅、照明の中、といろいろな場所から。

…盗聴器や小型カメラの音ですね。

私は各場所の機械を全て取り除いた。

誰かが、Aさんを監視していますね。

ストーカーや見張りなどの可能性もありますが。

…おや…

私の指がそのたくさんの機械たちについていた共通の柄に気づいた。

…＜死の家の鼠＞のマークだ。

Aさんは＜死の家の鼠＞に監視されていたのか。

これは報告しなければ。

…ただし、これを見つけた後に寝ているAさんをおいてはいけなかったため、また携帯で隊長に

報告をした。

すぐに別のマンションに移動させるそうだ。

携帯を閉じ、Aさんのところへと戻った。

…こんな女性を監視、いえ、猟犬の人なら誰でもよかったんでしょうか。

…

ふふ、楽しくなりそうですね。