45話 新しい仲間 ページ49
「な………なんなんだ一体！？王は…王は一体何を………!!!」
キチは動揺したまま大きな荷物を抱えて城門の前に立ち尽くしている。兵隊も敬礼をし、まるで俺がいらない存在だということを能動的に理解させるが如くそこにあり続けている。
一連の動きを見たミクオが心配になり、城壁から降りようとした時に王は声をかけた。
「君が………君が星死二神ノ子なんだね」
青い髪を風になびかせて空を舞う神の子を見つめ呟いたと思えば、王は後ろを向いてそのまま窓から離れ、部屋の奥へ行ってしまう。
「すまない…キチをよろしく頼む」
手を離し、体は無重力になる。
きっとこの言葉の意味は＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「僕に、どうしろっていうんだよ………」
顔をしかめてキチの前に着地する。風を切る音を聞いてはいたものの、突然目の前に現れる『ターゲット』に彼は相当驚いた。
「うわっ！！」
後ずさりをして、背負っていた荷物の赴くまま尻餅をつく。いつもとは違って見下される構図は新鮮で彼の目は惹き付けられて動かない。
「キミ、そんな荷物抱えてどこ行くの？」
「な………………………」
目的自身に目的を聞かれるとは思わず、言葉がごもってしまったキチは少し間をおいて問に答えた。
「あの………国を…追い出されてな………俺はもういらない奴みたいだ。ハハ……国に務めるものとして到底あるまじき行為を行ってきた代償だよ………」
「ふぅん」
「なにせ国外追放なもんで………居場所がなくて………あー………だから…その…」
ミクオは大きなため息を吐いて呆れたように口を開ける。
「あのさぁ……素直について行きたいですって言えないの？」
「…………ごめん」
キチは荷物を置いて立ち上がり、ミクオを見つめ、耳を赤らめながらあどけない顔で乞うた。
「…仲間に入れてくれないか？」
「………ついてきたいなら、ね」
オルガンや伝統楽器を始めとした城下町の陽気な祭囃子が聴こえてくる。
脅威の去ったこの砂漠の中の一つの国は、このまま在り続けるのだろう。
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作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2016年8月16日 20時
