42.5話 求める心 ページ46
「アルヌスって優しいんだね？」
「うっせー」
3つの影はこの国から姿を消した。
まさか、あいつが星死二神ノ子だなんて。
数百年に一人と呼ばれていた星死ニ神ノ子。
寿命は通常の人間と同じ為、俺が生きている限りでは出会う事は無理だと思っていた。『あの病気』の治し方は数多の文献を読み重ねても星死二神ノ子の生き血しか判明せず、諦め掛けていた最後の希望なのに。
しかし、妙に引っ掛かるのはあの死神の言っていた【少しの間でもあいつの不死身を解いたりする事は可能】という言葉。
つまりまだ希望はある。
あいつの戦闘能力に打ち勝つ事は可能なのか？いや、生き血は一滴で構わない｡争うより、話し合いの方が全然マシだろう。
だがどの状況よりも怖い事なんて聞くと気が乗らない。死ぬ可能性を自分で作るのだから当たり前なのだろうが、かなり難しい形になるだろう。
「キチよ」
「……あっ…申し訳ありません…少しぼーっとしてしまって」
キチはすくんだ脚を戻し、頭を抑える。
「今の話、ちゃんと聞いていただろう？」
「ええ…勿論です」
月明かりが眩しい。
王の顔を半分照らす。真っ直ぐとキチを見つめていた。
「キチ。お前はこの国に残るのか？」
「……………………それは……」
上げた顔を都合が悪くなったように下ろし、ぐちゃぐちゃと肉を削ぐ音が聞こえるダンスホールを見やりながら突如としてやってきた【最後のチャンス】について考える｡
「俺は………どうすればいいんですかね？」
今まで受けた恩は底知れず。
そして重要な職に就く俺が突然居なくなったらして国は混乱するのでは？なんて。
自分の気持ちは既にあちら側にあったのだが。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2016年8月16日 20時
