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36話 世界の影響 ページ39

その頃、アジトでも異様な光景が広がっていた。

「…………アルストリカ?」
医療室に戻ったヒウロは真っ黒の人型を目撃する。
正確に言えば2つ。それはつまりレヴィアタンとアルストリカの二人が闇色の繭に包まれているということだ。
アジトにいるジェイドとアルトを呼び状況を説明した後、ヒウロは手に青を宿らせた。
「ヒウロォ?なにするのー?」
ジェイドは覗き込むようにヒウロの手元を見る。
「壊す…」
「…おいおい、嘘だろ?そんな事無断でやっていいのか?」
「この物質に見覚えがある」

歯軋りをしながら手に力を込めるヒウロをよそに、ジェイドは呑気に水をかけた。
「ブッシツー?」
「君は本当に好奇心旺盛だな…」
水滴は落ちた。ベッドの外にいるのでレヴィアタンと思われる黒い塊はそれを一瞬で吸い込む。まるで何も無かったかのように跡形もなく消し去ってしまった。
「水が…」
悲しそうに消えた水を見つめるアルト。するとヒウロは闇炎をシールドのように張った。

「わわわ、ヒウロどうし」
ジェイドの言葉を劈くように銃弾のような速さで何かが焔に向かって突っ込んだ。蒸発した音がした事しか把握できない。

「やはりか…」
「何が起きたんだ?」
「これは敵のボスの仕業。……受けたダメージを何倍にも上げて返す特性を持っている。さっきジェイドが落とした水滴を弾丸のような速さで返したってわけだよ」
「………じゃあどうやってこれを剥ぐっていうんだ?何をやってもカウンターが起きるなら、俺とジェイドじゃあ体が蜂の巣になるぞ」
ヒウロが手をかざすと二つの繭は炎に包まれた。正確に言うと、繭の外に薄い膜を張ったような形状だ。

「…………これを解除できるのはこの世に二人しかいないしね」
薄青色の火が音を立てて飛んだと思えば闇炎は消失し、中身が露呈していた。


が。
「…………………おい」
「ヒウロ、レヴィアタンの火力間違えたぁ?」
ジェイドは【灰】をつまんではらはらと振り落とす。
「…………いや違う。これは…………【元から】だ。きっと例の『変化』だろ。だがこの繭が関係しているのは何故だろうな…」
「アルストリカも姿が変わってるね」
「起きたら話を聞いてみよう……何かまた情報の修正があるのかもしれない」
残されたレヴィアタンの灰を大事に拾い集め、今後について話し合う3人。
嫌な予感が立ち込めていた。

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作者名:ミミック | 作者ホームページ:https://twitter.com/neidangel  
作成日時:2016年8月16日 20時

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