33話 暴食少女 ページ36
「…………キミは」
ミクオは飛び散る破片が目に入らないように腕を目に被させながら覗き見る。
ステンドグラスの破片と共に光る金属がDNAの螺旋状みたく浮遊していて、その真ん中には目を赤く輝かせる見覚えのある顔があった。
「ジークで大人しくしてればよかったのになぁー…結局【博士】にそそのかされてこの変な王国に来ちゃったんだね」
「お、お前は誰だ!!お前が元凶なのか!」
キチは声を荒げ手を払う。
「げんきょー?なにそれ?よく分かんないからお兄ちゃんは黙ってて」
そう言うと少女は手を勢い良く伸ばす。
ムイと金属が掠れ合う音がしたと思いきや少女の細い腕はチャックを解いたように広がり、捻れるように棒状の形になったと思いきや瞬時にキチに向かって突き刺さろうとしていた。
それをミクオは見逃さない。とある修行で鍛えぬいた動体視力は裏切らずに彼に力を与える。
「ちぃぃ!!」
舌打ちをしながら剣を抜き弾き返す。
キチは目を丸くして二人の"化物"を見守る事しか出来なかった。
「…………嘘だろ」
「あれー?いがいだね!そのお兄ちゃん守らないと思ったんだけどなぁ」
「僕の服に血がつくの嫌だからだよガキ」
ミクオはいつものように嗤いながら剣を向ける。
「まぁいいや、改めて名乗るね!」
舌なめずりをしながら少女は恍惚の笑みを浮かべる。
「私はグラトニー!食べるのが大好きなの!だからお兄ちゃん達も食べさせて?」
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作者名:ミミック | 作者ホームページ:https://twitter.com/neidangel
作成日時:2016年8月16日 20時