【オリ】Neid Angel「第二章」暴食神・グラトニー (ページ32)

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29話　目の前でページ32

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金色«こんじき»に輝くシャンデリアはキチとミクオを真上から照らしている。光を乱反射し、虹色に映し出すガラスとダイヤモンド、そしてオパールで出来たそれはこの城が国ごと呪われている事を忘れさせるほど耽美なものだった。

「わー、こりゃ舞踏会のシャンデリアとは打って変わってクッソ豪華だなこれ～」
「…………？」
何故こいつがホールシャンデリアを知っているんだ？とキチは疑問に思った。
「お前……舞踏会にも侵入していたのか？」
「えっ」
かなりまずい事になってきた。ミクオは切り返し方をフル回転で考える。

「あ、あぁ。そりゃ視察に出向いてたよ。僕は有名な貴族だからね」
「嘘はいい」
バレたか。
「どうせ何らかの方法で窓から覗いてたんだろう………これだから【暗殺者】は」
「いやーあの変装じゃバレ…………ん？あ、あぁそうだね」
身分が身分で助かった。最初にそれっぽいことしといて良かったと安堵に浸る。

「ふむ……………あと…もう一つ聞きたい事がある。」
「んー？」
ミクオは冷や汗をかきながら大きな階段を一歩ずつ慎重に上っていく。
ひんやりとした手摺を持って冷静に次にくる言葉を対処していくつもりだった。

「…双子の妹か姉はいるか？」
予想とは一切違う裏腹の質問だった。

「双子？？弟はいるけど……」
「そうか…。変な質問をして悪かったな…」
キチは頭を垂れながら服の裾を握った。
「僕に似てる子でもいたのかい？」

「あぁ。姿形と顔も年齢もそっくりだし同じだがお前みたいにひねくれた性格じゃない。とても気さくで優しい方だ。名前も一文字違いだしな…てっきり双子かと思った」
「ふーん………残念ながら仲の良かった偽兄弟には妹は居たけどとても静かで黒髪だし。僕の弟がイメチェンでもしたんじゃない？」

あいつがそんな事やってると想像したら笑みが溢れる。
「冗談も大概にしろ…。ところでお前…仲間はいないのか？」
「お前お前うるさいなお前～。お前みたいな頼り無い奴なんて必要ないくらい沢山いるよ」
いつもは名前を覚えられずに馬鹿にしているミクオだが、仲間には誰よりも信頼をおいている。
「なるほど………この国の兵が徴兵中の民を含めて1000万だとすると…一体どれだけの軍勢を持っていると言うんだ…」
「僕合わせて５人かなー」

「は？」
「だからあと４人くらいじゃない？」
キチは今すぐにでも『こいつから離れよう』と決めた。