26話 余興 ページ28
「やぁ、どうなんだい？歪みが発生したと聞いたけど」
ダインは闇に紛れニマニマとやってきた。
「うん！これがブウェルガ！」
闇を纏ったブウェルガを指差すグラトニー。彼の美しく白い髪は黒くなり、雪のような肌白も焦げ塗りの色になり体全体がもはや奈落の底だった。
「僕も初めて間近で見たよ。肉薄に迫ってしまった…これはまさに禁忌だね！」
ダインは仰け反って手を広げ天を仰ぐ。
「……さて、と」
手に持つのは魔導書。
「博士、なにそれ？」
「秘密だよ」
歪みに絡まれたような黒く染まった手から火が灯る。
「わざわざ時間変動の早い世界に行って仕入れたからなぁ、歴史の変動が起きないように消さないとね」
魔導書はまるで油に浸されたかのように一気に燃え上がる。
だがそれはガスのように青く揺れていた。
「本当闇炎はよく燃えるよ」
「綺麗な魔導書だったのになぁ…何で燃やしちゃったの？」
「いくらパラレルワールドが無くたって消えるものは消えなくちゃいけない」
口を抑えてハクククと笑う。
「そしてこの灰は………都合の良いことに淘汰される事はないからね。グラトニーは粘土遊びは好きだったかい？」
「……………………遊んだ事無いからわかんないな」
「あ、そっか。そうだったね」
ダインが指を上に跳ねさせると灰は一つも残さずカーペットから剥がれていく。
浮いていくと言うのだろうか。
「グラトニー、気付いてるだろう？」
「うん」
城の大きな窓から見えるのは倒れている門を守る兵達。
「私はあの人達を殺せばいいんだよね？」
「そうさ！グラトニーならできるよ！ハククク…♪」
灰を漂わせながらダインは闇に消えてった。
残るのはブウェルガと私。
「博士………」
少女は胸を抑える。
「…………何で笑うの」
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作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2016年8月16日 20時
