21話 作戦開始 ページ23
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ハニメ王国城内。
舞踏会の余韻に包まれていて人気も少なく、警備兵もぐっすりと寝ていた。貴族は今頃ワイン片手にお楽しみと言ったところだろう。
キチは国王の仕事はいいといった粋な提案を無視して日課の仕事である書類判押を行い、部屋へ向かうところだった。
「(今日は…楽しかったな…)」
『彼女』の事を思い浮かべながら冷たい石畳と大きな柱のそびえる廊下を歩く。
した、したと足音が反響して誰もいないという焦燥感や劣等感に苛まれそうになる。
「(誰も…いないよな)」
溜息をついたその時。
眩い光り物が目の前に据えられた。
ナイフ。
小指が木製の持ち手を鳴らし、切れ味の良さそうな金属部分はチャキと音を鳴らした。
「はーい、じっとしてね」
まるで首に鎌をかける死神のような。
「(なんだこいつは!!!)」
すかさず手に魔力を宿らせようとする。
が。
「あっ、ごめーん☆僕の足引っ掛かってるよね。でも何で魔法が出せないんだろうね」
キチは自分の手を見た。
何者かは城下町のまやかし屋でよく売っている魔力無効化のブレスレットを足につけて、彼が何者かを背負う形で手に足を絡めていた。もはや別商品でもあるが。
「命ならくれてやる…それとも宝か？？お前の目的はなんだ。」
「ちゃんと話聞いてくれる人だったんだねぇ〜。別に僕は君の命も宝も興味無いよ」
「では何を目的に俺を捕まえた？」
「興味」
それは[ミクオ]には十分な理由だった。
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作者名：ミミック | 作者ホームページ：https://twitter.com/neidangel
作成日時：2016年8月16日 20時
