16話 接近 ページ18
「…はい?」
少しいつもより高い声を出してみる。
振り向くとそこには若き王の姿があった。
遠くではハッキリ分からなかったが、眼鏡の他にも若者のような短髪と吹き出物。
まるで同い年辺りだ。
「とても…貴殿の可憐な後姿に目を引くものがあってな」
『wwwwwwwwwwwwwwwwww』
「あら…ありがとうございます」
『wwwwwwwwwwwwwwwwww』
アクアの笑い声がとてもうるさい。
『ヒィwwwwwwヒィwwwwww』
『これはやばいな…wwwwww』
『フフ…www』
ユーカリとアルの笑い声も聞こえた。
恥ずかしくて仕方がない。あっちの方は無事なんだろうか。
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「ん?キチ君はあの子が気になってるの?」
「…えっ」
今年も舞踏会をさっさと抜けて寝ようと思っていた頃。
キチはサラダを食べながら、少し自分より背の低い同じ年頃のこの辺りでは見掛け無いものの、本の挿絵で見たことのあるようなドレスを身にまとった水色の女性に釘付けになっていた。
「行って来なさいよ、アンタだってもう子供じゃないようなもんなんだし」
「そんな、俺がこういうの苦手って知ってますよねおばさん」
そう言っても兵給仕のベテランの召使の迫力には勝てず後ろから背中をどん、と温かくも恐怖を感じさせる手のひらで押された。
「あ、あのー…」
「ふえっ!?…えっと、なんですか?」
他の人とは違ってあまり着飾らず、料理を食べてダンスを嗜み楽しく過ごしているのを見て俺もこういう風に場の空気に馴染めたらいいのになと思っていたなんて説明は出来ないなぁ。
「俺と…一緒に…」
横を見るとおばさんが腕を組みじっとこちらの様子を伺っている。
「あまり苦手というか…えー場の空気馴染めなくて困ってて…だから…えー」
「あ、そうなんですね!ぼk…私もこれでも頑張ってる方なんですけど慣れてないと大変ですよね〜」
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作者名:ミミック | 作者ホームページ:https://twitter.com/neidangel
作成日時:2016年8月16日 20時