◇(4) ページ5
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「A」
「 んー? 」
「それは重要機密書類ですが」
「 そうね〜 」
「...何故手を付けているのですか?」
「 御前の仕事を片付ける為だよ 」
仕事着から部屋着に着替えさせ、
布団へと突っ込んだのはいいものの。
奴は奴で色々と気になる事があるようで。
寝転がったまま、しかし頭は起きている。
「いえ、ですがそれは」
「 それ以上文句言うなら強制的に寝かせるぞ 」
「何も言いません」
「 はい、よろしい 」
他の獄卒達は鬼灯を恐ろしいと言う。
確かに誰に似たのか無表情で冷酷だが、
仕事以外に関しては案外優しく面白い子だ。
それでも他人に頼る事はどうも苦手らしい。
人間だった頃、人からの愛情が欠如していた為だろうか。
「 仕事を頑張る御前は誇らしいが、
自分に気を遣えない奴は愚かで阿呆だよ、鬼灯 」
私は仮にも御前の母親で、姉で、理解者なのだから。
せめて私にだけは甘えて欲しい。
「 善処します、母上 」
「 あぁ、是非そうしてくれ 」
それにしても、詳細不明な亡者の書類が多いこと。
今、手に取ったものを含め十二枚。
詳細不明といっても内容が無いわけでは無いが。
「 生きたまま鬼になる現象、ね 」
「あぁ、それですよ。私が寝れなかった理由」
「 これは前からある現象? 」
「はい。千年程前から度々見かけていたんですが、
最近になってその数が増えてきまして...」
現世で鬼になり、死して地獄へやって来た亡者は
皆、口を揃えて自分の意思ではないと言う。
しかし、人を"喰っていた"事実は変わらず。
人間が鬼になり人を喰らう。
「 己の意思では無い罪をどう裁くのか。
それを考えあぐねていたわけだね 」
「えぇ、まぁ」
意思で無くとも罪は罪。
「 平等に裁くべきだと私は思うよ 」
「えぇ、私もそう思います」
最終的に決断を下すのは閻魔大王。
私も多少なりとも進言したとして、
これが今後も起こるとなると対処は中々厳しい。
「 ...鬼灯 」
「何ですか?」
「 この現象に興味が出てきた 」
「は?」
「 現世に行ってくるよ 」
興味がある。
何故、人間が鬼になるのか。
鬼となった元人間に罪の意識があるのか。
罪悪感を抱くのか。
確かめてこよう。自らの目で。
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まゆゆ(プロフ) - すっごく面白いです! (2021年6月19日 0時) (レス) id: b7969430ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - ドストライクです。更新頑張ってください! (2020年9月2日 19時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年8月14日 8時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
青春を返せ(プロフ) - うわああああ!!この作品めっちゃ好きです!続きが気になる〜!更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月18日 17時) (レス) id: f38cd6c1be (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 頑張って下さい! 応援してます! (2020年5月17日 22時) (レス) id: f273bc5d9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M子 | 作成日時:2020年5月4日 3時