◇(2) ページ12
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その日は確か、赤い満月の夜だった。
8歳の私が目にしたのは、バルコニーに降り立つ白い翼の人。
「おや、こんな時間にお姫様がお目覚めとは...」
めちゃくちゃキザだなこの人〜が第一印象である。
だけど私はその人を知っていて、
彼をあの人だと理解すると同時に頭を抱えることになる。
これはアレでは?初代怪盗キッドでは?と。
「眠れないのかな?お姫様」
「 目が覚めただけです 」
「これはこれは。随分としっかりしたお姫様だ」
「 お姫様じゃないですよ。
私はそんなにか弱い娘ではないので 」
「それは失礼したねお嬢さん。気を悪くしてしまったかな?」
モノクルから覗く目が美しい怪盗に幼いながらもドキドキとする。
前世含めてしっかりと見るのは初めてだけど、
あの息子が生まれるだけあるわ。めちゃくちゃイケオジ。
「 いえまさか 」
「ほう?それはどうして?」
その問いに私はまるで小説を読むように言ったのだ。
「 白い怪盗の美しい羽を見れたから 」
「...これはこれは、私とした事が。
どうやらお嬢さんの方が一枚上手だったようだ」
「 ふふ、 」
口元に手を当てて僅かに照れた様子を見せる怪盗は、
バサリと風にマントを潜らせて一礼し、そして。
「可愛いお嬢さん。いつ世の夜にまた会おう」
去っていった。
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「 こんにちは 」
「こんにちは、お嬢さん」
私宛に届いた包みの中にはプレミア付きの鑑賞チケットが3枚。
いやいつの間に家族構成調べたん。
急募:プライバシー とは
「 また会えたね 」
「あぁ。また会えたな、お嬢さん」
握手を交わした私は密かに誓ったのだ。
この人を死なせはしないと。
何があってもその結末を阻止すると。
原作を壊してしまってもいい。
人の命の方が大切だ。
楽しい夜をくれた彼を死なせはしない。
「 貴方は生きるべきです 」
「キミは一体...、」
_____黒羽盗一が死ぬはずだったその日
運命が変わり、歯車が動き出した。
それは次第に全てを巻き込み大きくなっていく。
それでも私は、誰かを見殺しにする事が出来ないのだ。
これから先もずっと。ずっと。
私の知る限りは最悪の結末を止めていくのだろう。
せめて幸せになって欲しいと願う人だけでも
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さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年12月12日 15時) (レス) id: e37c997eb7 (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - この話凄く面白かったです!再新頑張ってくださいp(^-^)q (2019年1月15日 2時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M子ちゃん | 作成日時:2018年6月1日 3時