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ピアス(Hi) ページ4

*



君に使えた筈の時間は、
友人と遊んだり。


忙しい事だって理解してくれてる君に甘えていた。


名ばかりの恋人と言う関係は、
仕事の合間を縫って
お互いの身体を重ねるだけ。


それでも、気持ちはちゃんとあったし。
大切だって思ってた。




「久しぶり」



世間に蔓延したウイルスで仕事は滞り、
自宅で作業をする事が増えた時
今なら彼女との時間を作ってあげられる。


そう思って部屋に呼んだ。



数ヶ月ぶりにみた彼女は以前とはまるで別人で。



香水の匂いも、


緩く巻かれた髪も、


今まで着ていた服のジャンルも変わっていた。



「見ない内に変わったね」


「そうかな?ヒロは...そうだね、いつもSNSで見れるから違和感ないや」



力無く笑う君が痛々しい。


今になって疎かにしていた事を痛感する。


俺、彼女の何を知ってるっけ...?



「これからはさ、暫く時間作れるから...」


「...無理しないでね」


無理をしてるのは俺じゃなくてAでしょ?


華奢な身体をゆっくりと引き寄せて抱きしめた。


そうでもしないと何処か遠くに行ってしまいそうで。



「これ...買ったの?」


少し身体を離して
彼女の頬に手を当てれば
見覚えのないピアスが垂れた前髪から形を表す。


「ああ...うん、そう...」



歯切れの悪い返事が俺の不安を駆り立てていく。


もしかして...


頭の中に浮かんだ思想をかき消す様にもう一度彼女を抱きしめた。



「あのね、ヒロ...」


言わないで。


お願いだから、俺から離れて行かないで。


言葉の続きを聞きたくなくて俺は彼女の口唇を塞いだ。


勝手な俺を許して欲しい...


だけど、今気付いたんだ。


俺にとって失っちゃ行けない人だってこと。



Aの耳で揺れたピアスを見ないフリして、
いつまでも腕の中に閉じ込めた。



________________________________________


重たい話ばかり更新してしまい申し訳ないです。
次はハッピーなお話を提供出来ればと思います。

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まるのうち(プロフ) - ノアーさん» コメントありがとうございます!好みに沿えて嬉しいです🍀 (2022年10月10日 0時) (レス) id: 214dd9e1b7 (このIDを非表示/違反報告)
ノアー(プロフ) - お話すごく好みです🤧更新楽しみにしてます〜💕 (2022年10月9日 22時) (レス) @page6 id: 2de0e561d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるのうち | 作成日時:2022年9月26日 0時

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