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一匹狼(Hi) ページ13

*



すれ違った同僚の内緒話が聞こえた。



「Aさんっていつも1人でいるよねー」


「無愛想だから仕方無いでしょ」



分かり合えないなら時間が勿体無いから。


そう言って切り捨てて来た数は知れない。


私って誰かと連むのは向いてないんだろうなって
一人、喫煙所で吹かした煙草は美味しくて。


この時間だけは会社でも唯一
自分が自分で居られる時間。


ガチャッと音がした方をみれば、磯部先輩が入って来た。





「お疲れ様ですー」


「おう、お疲れー!」



ああ、折角の1人の時間が終わっちゃった。


磯部先輩には申し訳無いが、そんなことを思って
吸い切らない煙草の火を灰皿に押し付けて出ていこうとした。




「Aちゃんってさー友達いるの?」


「...何ですかその質問」


「なんかさっき女の子達が話してるの聞こえてさー」



無神経な事言う人だなと思ったら
眉間の皺を隠せずにいた私に笑い顔の磯部先輩。


完全に挑発してるその態度に乗るつもりは無くて
笑顔で喫煙所を後にした。




「...なんですか?」



さっき、喫煙所に入ったばかりの磯部先輩が
私の後を付けてくる。


振り返れば先程みた笑顔のままで。



「んー?俺さ、Aちゃんと仲良くなりたいんだよね」


「物好きですね。
私みたいな友達いなそうな女、
仲良くなっても楽しくないと思いますけど?」


「ふはっ、怒らせちゃった?ごめんね?」


馬鹿にしてるようにしか見えない
その態度に私の怒りは溜まっていく。


だから人と関わるの嫌いなんだ。


心すり減らしてまで連む理由なんてない。


分かり易い大きな溜息を吐いて
もう一度、磯部先輩をみて笑顔を返した。



「私、誰とも仲良くなるつもりないんで。
大体、 ここには仕事しに来てるんです。
友達なんて必要ですか?」


「コミュニケーションは大切だよー?だからさ、ね?」



未だ剥がれない私の眉間に磯部先輩の指先が触れる。


驚いて身を引こうとすれば、もう1つの手でそれを阻止された。



「友達...って言うよりさ、もっと仲良くなりたいなーて」


「...はあ?」


「やっぱりいいね、Aちゃん笑」



終始楽しそうな磯部先輩に
振り回される私。


弄れてるし、基本的に人の事
信じられないし、疲れるのは嫌い。


だけど、そんな私をほっとこうとしない磯部先輩に
絆されるのはそう遠くない未来。


かもしれない。

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まるのうち(プロフ) - ノアーさん» コメントありがとうございます!好みに沿えて嬉しいです🍀 (2022年10月10日 0時) (レス) id: 214dd9e1b7 (このIDを非表示/違反報告)
ノアー(プロフ) - お話すごく好みです🤧更新楽しみにしてます〜💕 (2022年10月9日 22時) (レス) @page6 id: 2de0e561d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まるのうち | 作成日時:2022年9月26日 0時

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