お幸せに(Yk) ページ12
*
「終わったねー」
「...そだね」
白い息が出る季節。
悴む手に息を吹きかけて
寒さを凌ぐ。
隣に立つ洋平をみれば
ユラユラと揺れる瞳からは今にも涙が溢れ落ちそうで。
「あーもー泣かないでよっ!」
「うっせ...泣いてねーよ」
乱暴に目を擦って否定する洋平は
涙が溢れないように星もない空を見上げてる。
今日、私達は失恋した。
私が好きだった人が
洋平の好きだった人と結ばれた日。
結婚されたんじゃ仕方ない。
最後までお互い気持ちを伝えずに終わってしまった。
「かっこよかったな...」
「...綺麗だった」
脳裏に浮かぶのは二人のハネムーン姿と
幸せそうに微笑む横顔。
式が終わった後
そのまま帰りたく無くて
車を出してくれた洋平と誰もいない場所で時間を持て余していた。
今、一人じゃ無くて良かった。
洋平がいて、私が泣けない代わりに泣いてるのをみたら
自分の気持ちごと吐き出してくれてるみたいで。
思う程、そんなに辛くない。
「洋平」
「...なに?」
手招きすれば
不審そうにも少しずつ近付いて来てくれたから
腕を引いてギュッと抱き締めた。
何も言わない洋平は背中を丸めて私の肩に頭を預けて
背中に腕が回される。
「お疲れ様」
「Aもね...」
「うん...頑張ったね」
「何も出来なかったけどね」
「祝福出来たでしょ?上出来じゃん」
「...うん、そだね」
震える声が寒さからなのか
泣いてるのかは分からないけど。
そんな気持ちなんておかまいなしに
お腹が鳴って何だか可笑しくなって
顔を見合わせて笑った。
「ムードも色気もねぇのな」
「うるさいなあ...あーなんか肉まん食べたいなー」
「いいね。じゃあ、コンビニ行こうか」
「ジャンケンして負けた方が奢るのどう?」
「ふっ...負けねーよ?」
「私ジャンケン強いよ?笑」
車を停めたところまで歩きながら
子供みたいに燥いで。
私達の好きな人が幸せになってくれれば良いと
言い聞かせながら車に乗り込んだ。
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綺麗事かも知れませんが、好きな人が自分じゃない誰かと幸せになる事を祈れたらそれは本当の愛なのかなーなんて思いませんか?(聞くな)
人に寄ってはそう思うのに時間って掛かると思うし、もしかしたら一生そう思う事が出来ないかも知れませんよね...(汗)
その時は自分が幸せになる事だけ考えたら良いのかな。
なんて、ここは読まなくて大丈夫です。笑
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まるのうち(プロフ) - ノアーさん» コメントありがとうございます!好みに沿えて嬉しいです🍀 (2022年10月10日 0時) (レス) id: 214dd9e1b7 (このIDを非表示/違反報告)
ノアー(プロフ) - お話すごく好みです🤧更新楽しみにしてます〜💕 (2022年10月9日 22時) (レス) @page6 id: 2de0e561d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるのうち | 作成日時:2022年9月26日 0時