短編集

いつか、(Hi) ページ11

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あなたと私は
生徒と教師で


その肩書きが
素直になる事さえ許されないのだと
子供ながらに分かってるよ。






「子供に興味は持てない。それが本心」



笑いながら残酷な事を言う磯部先生。



いつだっただろう
隣のクラスの女子が告白してるのをみた。



覗きなんて趣味の悪い事して最低だ。


ぼろぼろと大きな瞳から涙を流す女の子が
私の横を駆け抜けていった。


その後ろ姿に自分を投影した。








「A、聞いてる？」


「すみません、聞いてませんでした」


「ははっ、素直だな」



額をこつんと指先で押される。



先生にとってはなんでもない事でも
ただの生徒の中の1人だとしても。


そんな事が、


嬉しくて...


切なくて...


苦しい。



「今日はもう帰った方が良いんじゃないか？」


「そうですね...そうします」




授業で分かない所があったのを理由にして
磯部先生に会いに行く。



あなたは気付いてますか？


あの日振った女の子の気持ちと
私の気持ちが同じだって事。



言ってしまえばもう、
こうやって放課後残って勉強を見てくれる事もなくなりますか？



私は生徒で
あなたは教師。


その事実は揺らぎようがない。



それでも、


今、この瞬間は先生の事でいっぱいなんです。



磯部先生が好き。


それさえも許しては貰えませんか？



「どうした？早く帰れよー」


「はい...また、ご指導ご鞭撻(べんたつ)よろしくお願いします」


「はいよー」



プリントを見ながら手を挙げる磯部先生の横顔に挨拶をして
ふたりきりだった職員室をひとりで出た。



静まり返る廊下。



窓の向こうから聞こえてくる部活動の声。


すべて、


いつか思い出になる。



私の気持ちごと。


大人になった私が
笑って懐かしむ時がくる。


その時まで。


言えないままでも
私にとって大切なこの想いを


今はこのまま、抱いたままで。



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学園パロです。笑

磯部先生の担当教科ってやっぱり英語ですかね？
優しくて明るくて生徒にも教師にも人気ありそうなイメージ。

どうしても切なかったり暗かったりする内容が多めになってしまいます。

読むのはハッピーなお話が好きたのですが、書くのは苦手なようです。汗

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