Fleur. (ページ4)

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Side：BLACK

ライブが楽しくて、気分は最高だった。今日のセットリストを確認し、テレビでMVを見返す。

…慎太郎、そろそろ帰ったかな。

慎太郎とご飯を食べられるかもとちょっと期待したけど、慎太郎にも都合があるから仕方ない。

冷蔵庫から適当に食材を選び、名のない料理に手をつける。

…今電話したら、出るかな。

冷めやらぬ興奮と真夜中のテンションに誘われ、夕方で終わったチャットを開く。
通話ボタンを躊躇なく押す。

スリーコールくらいで、音声はつながった。

『ぇへ、だぁれぇ？』

呂律の回らない、でも聞き慣れた声がする。

『…ほぉくとだぁ。ぉれ、しんたお』

質問をしても、真っ直ぐ返事が返ってこない。

まずい。慎太郎はお酒が弱いはずだ。
一杯でもベロベロに酔うから、介抱した樹が軽い文句を言ってたのは記憶に新しい。

「ねえ慎太郎、ちょっと待ってて。今行くから」

衝動的に家を飛び出す。
数少ないタクシーを必死で停めて、以前マネージャーから教えてもらった住所を告げる。

ネオンの街を眺めながら、物思いに耽る。

メンバーの家に深夜に行くなんて、自分でも変わったな。

でも、慎太郎のことをつい気にしてしまうのは、出会った頃から変わっていない。

心地よい揺れに身を委ね、慎太郎の元に着くのを待った。