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この人!メーアはAを見上げ、驚き困惑する。


さっきから、自分から離れることを望んでいたはずなのに。


「小さな女の子一人に、しかも嫌がってる子を魔王討伐に連れていくとか。」


バカ?


Aの声には、僅かな固さが混じっていた。勇者の男達は気付かない。


「はっ、部外者が口をだすな。そのガキは必要なんだよ、絶対にな!」


「迷信を信じて、生け贄にでもする?」


迷信?生け贄?はてなが消えないメーアと別に、男達が固まった。


「...やっぱり、そうなんだ。」


「ちょっと待てよ。まだ迷信かも分かってないんだぞ?本当かも...。」


「いーや?嘘だよ、それ。だって青い髪の人も死んだし。」


さらりと言った言葉は、男達を警戒させるに十分だった。


「...おいおい、兄ちゃん。お前が魔王討伐に行ったみたいな言い種だな?」


「...そうだね、俺は1ヶ月位前に行ったかな。」


空中を見上げて、どこか遠くをぼんやり見据える。


Aは過去をなぞるように言った。


「仲間に青い髪の毛の人もいたけど。死んだよ、俺以外、メンバー全員。」


彼女は魔法使いだった。古い傷に、眉をひそめる。


そんな彼とは別に、男達の中に心当たりがあった。


1ヶ月前の魔王討伐。メンバー全員が死に絶えた、筈が1人だけ生き残り。


それは勇者で。今朝、辞めたと聞いた。


「ま、まさか...。」


その勇者は、勇者内で噂になるほど強かった。まさか、まさか。


「...A·イルキナ。」


「ほい?」


きょとんと首を傾げた青年に、男達の背に震えと恐怖が走る。


『彼を敵に回せば、絶対に勝てない』


たかが青い髪の毛のガキと自分の命と。男達は当然。


「覚えてやがれっ!」


「...え?」


急に捨て台詞を残して逃げていく。Aはハテナを浮かべ、頭を掻いた。


大して何もしていないが。


「...んで、まあ。」


ポツリと残されたような少女を振り向く。


「一件落着?」


「あ、ありがとう、ございます...。」


「うん。」


少女を見る。少しばかり静寂。


そして、Aはポケットに手を突っ込んで溜め息をついた。


「...なんか、俺こういうの苦手なんだよ。」


「はい?」


「だから、人を勧誘とかするの!」


勧誘?何を言って?


オロオロするメーアに、Aは呟くように手を差し伸べた。


「一緒に、来ない?」

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BLACKMOON - なるほど、そんな活用が...!ありがとうございます! (2020年10月8日 6時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
エイト - ドラクエ主人公の名前でやってみる (2020年10月6日 18時) (レス) id: 89c1acd712 (このIDを非表示/違反報告)
Blackkiller - naナnaさん» 案を使わせて頂きました。どこまでご期待にそえるか分かりませんが、頑張らせて下さい!よろしければ、また来てください、アドバイスよろしくお願いします! (2020年10月4日 20時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
naナna - 神作者ですか?神作者ですね!私の駄作がこんな神作になるなんて…凄いです!応援してます! (2020年10月4日 16時) (レス) id: ef598d6828 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Blackiller | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2020年9月22日 7時

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