打ち上げ花火×芥川龍之介 ページ8
芥「『羅生門』!!」
その声と共に黒獣が展開され、敵組織からの刺客が切り裂かれる。
貴「…お疲れ様です!いやぁ、やっぱりいつ見ても凄いですねぇ…!」
芥「…Aか。僕などまだまだだ。あの人に認められる迄は…」
全ての経緯を知っている私は彼のこの、何処にいるかもわからない『あの人』を見つめる顔が、瞳が、切なくなっていくところをみると、辛くなる。
貴「芥川さん…。きっとあの人も…。」
芥「…そうだといいがな。」
上を見上げる芥川さん。その瞳はやはり脆く、見えない『あの人』をみようとしているかのようで、私は、思わずうつむく。
ふっ、と己の体についた返り血を眺め、
芥「帰るぞ。」
と言う芥川さん。
その声には先程のような脆さはなく。何時もどうりの芥川さんだった。
貴「…はい。」
私は返事をしてからたった、と駆け足で芥川さんのもとへ向かう。
その刹那、
ドドーン
という音が聞こえてきて、夜の筈なのに、私達は光に包まれる。
明るいところで見る芥川さんはやはり血で濡れており、疲れている様だった。
芥川さんは突然のことに思わず、という形で羅生門を繰り出す。私を引き寄せ、腕の中にしまってから、
芥「『羅生門』!!」
と叫んだ。
が、何も起きない。音の正体に気づいた私は、少し顔をあげ、芥川さんに告げる。
貴「芥川さん…。コレ…っ!花火…!!」
また、音が鳴り、昼間の様に明るくなる。気づくと黒獣は消え、芥川さんも花火に見入っていた。
貴「綺麗…。」
と呟くと、上のほうから、
芥「あぁ、花火等を見たのは久方ぶりだ。……綺麗だな。」
という声が返ってくる。そして、
芥「先程の会話で、僕は『あの人』…太宰さんに認めてもらえてると良いと、そういったが……」
抱きしめられたまま、芥川さんの言葉を待つ。
ドドーン
芥「」
その言葉は花火の音で掻き消された。何と言ったのか、聞き直そうとしたが、それは叶わなかった。
何故なら……、
ちゅう…
貴「んっ、んぅ…。ふっ、…ん…」
私の唇は芥川さんの唇で塞がれてしまったから。
芥川さんは名残惜しそうに唇を離すと、こう言った。
芥「早く帰るぞ。続きは…帰ってからだな。」
そしてふっと笑い、歩いていく。その後ろ姿を照らす、花火。
私は恐らく赤くなっているであろう頬を隠しながら小走りに彼の後を追った。
『今はAがいてくれる故、これで良い。』
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紫杏 - ナオ▼さん>お褒めいただき、ありがとうございます…!実は私も福沢さんのやつは結構気に入ってて…(照)この作品は終わりにしてしまいましたが、今後とも紫杏をよろしくお願いします。 (2017年1月7日 15時) (レス) id: 31d6c79ecc (このIDを非表示/違反報告)
ナオ▼ - めっちゃキュンキュンしました!特に福沢さんと森さんの話が大人な感じで素敵でした(*´>ω<`) (2017年1月6日 15時) (レス) id: d611bd726f (このIDを非表示/違反報告)
紫杏 - カナデ♪さん:本当ですか!?ありがとうございます!! 更新さぼって申し訳ありませんでした。また頑張るのでこれからもよろしくお願いします。 (2016年8月22日 0時) (レス) id: 31d6c79ecc (このIDを非表示/違反報告)
カナデ♪(プロフ) - 森さんにキュンとしてしまいました…他の方にももちろんキュンとしました。とっても楽しめました! (2016年8月11日 9時) (レス) id: a56cb588ef (このIDを非表示/違反報告)
紫杏 - よかったら、評価や感想等々よろしくお願いします! (2016年7月22日 11時) (レス) id: 31d6c79ecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫杏 | 作成日時:2016年7月7日 23時