▽大丈夫だよ ページ23
「…こんな話してたら遅くなっちゃったね」
お父さんお母さんも心配するだろうし、行こっか、ってひらつくんが再び歩き始めたから今度は横に並んで歩く
さっきの表情の意味は私には汲み取れなくて、まっすぐ前を向くその横顔をチラッと見てみるけど特に得るものはなくて、
私の視線に気づいたひらつくんが「俺の顔見すぎ笑」ってぐしゃっと私の頭を撫でる
『…っ、なぁ…A……、て…？』
その瞬間、視界がぼやけて、どこかから声が聞こえた
懐かしいと感じるその声はこれまで聞こえていた人とは違うもので、
「…いやっ...！」
頭に響くその声に動揺して私の頭にあったひらつくんの手を振り払ってしまって、ガンガンと鳴り響くそれに耐えきれなくてその場に蹲る
痛みに目に雫が溜まって視界がぼやける
そのぼやけた視界の中、目の前にいるはずのひらつくんに他の誰かの面影を感じて、
「…A、大丈夫だよ、大丈夫」
どれくらい経ったのか自分でもわからなくて、落ち着きを取り戻してきたときに聞こえたひらつくんの声
なんでだろう、すごく、安心する…
クリアになった視界で目の前にしゃがみ込むひらつくんを捉えれば急に抱きしめられて、一瞬驚きで固まるけど安心感からまた涙が溢れる
ポンポンと一定のリズムで軽く背中を叩いてくれて、思わずひらつくんの肩に顔を押し付ける
もう、落ち着いた？っていうひらつくんの声が耳元で響いて、コクッと頷いたところで冷静さを取り戻してあまりの近さに頬が熱くなる
「あ、っ…ごめんね、急に取り乱して、」
平静を装いつつ、人目につく通りじゃなくてよかったなんて思いながら離れると心配そうに眉尻を下げてこっちを見るひらつくんと目が合って少し狼狽える
しゃがみ込んだままだったからとりあえず立ち上がって「もう大丈夫、今日ちょっとはしゃぎすぎちゃったからかな」なんて笑ってごまかしたのに、
「…誰の声、だったか、思い出せた…？」
「え…！なん、で…」
絞り出すような声でそう言ったひらつくんはすごく苦しそうで、とりあえず首を横に振って否定する
私の返答にひらつくんはなぜか安堵していて、
なんでこのこと知ってるのか、いろいろ聞こうとしたらこれ以上は聞かないで、って口元を軽く押さえつけられたから黙って頷くことしか私にはできなかった
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鈴黎(プロフ) - ふーかさん» コメントありがとうございます。今後わかっていくこともあると思うのでご期待に添えるよう頑張ります！5月から更新再開しますので気長にお待ちください(^ ^♪ (2021年4月27日 15時) (
レス) id: ce9b284c17 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか - 何か、難しいですね笑 最初らへんの主人公がうちむって言ったのも気になりますしこっち側とかあっち側とか、続きが気になってやばいです！更新待ってます！ (2021年4月25日 23時) (レス) id: c4a626600f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴黎 | 作成日時：2021年3月24日 17時
