青春 (ページ23)

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学校の屋上についてフェンスをくぐってなんの仕切りもない所までやってきた

大我「なあ、……ミスカトレアの3位、そんなに嫌だった？」

大我の投げかけた言葉にほんの少し俯いて黙り込む

わたしも何か言わなくちゃ、
そう頭の中ではわかってるけど、きっと彼女はわたしの本当のことを言わなきゃなにも話してはくれないだろう。

そんなわたしに気づいたのか、大我がそっと頭に手を置いてわたしの顔を覗きこんだ

大我「まだ、言えねーんだろ？なら、俺がなんとかする」

「でも、」

大我「 Aの大事な友達なんだろ？なら俺だって守る」

ニッと笑って、3歩くらいさゆりんの方に歩み寄って自分の境遇を話し始める大我

大我「俺、4人兄弟の一番下でさ、母ちゃんは女の子が欲しかったんだって」

そんな大我の話に顔を上げて耳を傾けるさゆりん

大我「元々顔が女っぽかったからって理由で、女の服着させられてさ。3ヶ月前に俺が喧嘩してるとこ母ちゃんに見られて、本当のこと全部話したんだ。そしたら口も聞いてくれなくなった」

なんで、大我はそこまで出来るの。
わたしは友達がここまでおもいつめてることに気づいてるのに自分をさらけ出せなくて、
それなのに大我はわたしの友達のためだからって、自分のことをさらけ出して。

これじゃ親友なんておろか、友達さえも名乗る資格ないよ。

大我「でもさ、いつもこいつに助けられてんだ」

小百合「 ……Aに？」

大我「そう。物心ついた時本当に嫌になって泣いてた俺に、それスースーしてきもちくない？って笑い飛ばしてくれたり」

「別にあれは本気でおもってたし…… 」

大我「母ちゃんに口聞いてもらえなくなって死んでやるっておもったときも、必死になってなぜかAが泣いてて、一緒に服燃やそうって言ってくれてさ」

小百合「 Aらしいね」

「だって大事な友達だから死んで欲しくないよ、…………それはさゆりんに対してだって同じ」

大我「こういうやつなんだ。だから今はAの全部がわかんなくても、許してやってほしい」

自分のことじゃないのに大我が頭を下げてて、わたしって本当に情けないやつだっておもって苦しくなる

大我を見てたら、わたしも本当のことを言ってもいいんじゃないかって、そうおもってきたの。