Your Naked (ページ28)

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あれから特に変わったことはない。
傷口のことも、あの先輩としていることも、彼女の白すぎる肌に隠されたことも、何も分からずじまい。

でも強いて言うなら、今まで隔てられていた俺たちを遮る壁が徐々に崩れてきているということは進歩かもしれない。

「ちょっと行ってくるね」

雄登「またあの人？」

「そうだけど、雄登が心配するような事はしてないよ」

雄登「どうだか」

「もう、(笑)付き合ってるわけじゃないんだし」

雄登「 Aはあの人のこと好きじゃない？」

「お兄ちゃんみたいな？」

雄登「ふーん。いってらっしゃい」

ガキみたいに不貞腐れて、お弁当に入っているウインナーを頬張りながら彼女にそんな言葉を投げかけると、呆れたように俺の頭を撫でてから教室を出ていく

俺だって、もっと余裕ぶりたい。でも彼女を前にするとどうしても不安が募って、やっぱり俺じゃダメなんじゃないかって。

そんな気持ちに飲み込まれそうになった時、彼女の匂いが風に乗って俺の鼻腔をくすぐる

雄登「 A？はやかったね」

「 …………やっぱり、雄登に知ってほしいの」

雄登「ん？」

「ついてきて？」

突然の事でなにも理解できなかったけど、これから彼女が教えてくれることは俺に衝撃を与えることなんだろう、ということはなぜか感じ取れた

連れてこられた、あの謎の空き教室
中には彼女とよく登下校している先輩と、ここでいつも会ってる先輩

雄登「な、に……？」

優斗「あーあ、俺玉砕だあ」

涼「優斗うるさいんだけど」

優斗「だってだってー！これじゃAちゃんを俺にください！ってやつじゃん！」

涼「 Aが決めたことなんだから、文句言わないの」

優斗「わかってっけどー、」

この会話だけで伝わってくる
彼女がどれだけこの2人に大事にされているのかが。

そんな2人の会話を見てクスッと笑った彼女が俺の方に向き直って口を開く

「 ………………吸血鬼なのって言ったら、信じる？」

雄登「へ、」

そんなの、ファンタジーの世界でしかありえないものだとおもっていた俺が、彼女の言葉を理解するのに手間取るのはしょうがないことだろう。