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わたしの手を握って、ほんの少し眉尻をさげる
涼「 Aは瑞稀に吸血鬼にされたでしょ？」
「 うん、」
涼「 あれは瑞稀とAが両想いだったからで、もしお互いが相手を大事な幼馴染程度にしかおもってない状態で舌を噛んでたら、Aはさっきの浮所みたいになってた 」
「 そういうこと、なの？」
涼「 Aはあいつのこと、男として好きじゃなかったんだよね？」
「 …………うん 」
涼「 だから、ダメだったんだよ 」
「 ごめん、なさい、」
涼「 やっぱりまだ瑞稀のこと好きなんだね 」
「 わたしを置いてきぼりにしても、なんにも連絡してくれなくても、好きなの 」
涼「 何も考えてあげられてなくてごめん 」
「 わたしこそごめんなさい、」
涼「 浮所のこと、Aだけは忘れちゃだめだよ 」
「 忘れないよ、絶対 」
涼くんが飛貴の胸のあたりに手を置くと、途端に涼くんの瞳が真っ赤になる
触れてる部分がライトでも仕込まれてるのかとおもうように光って、その光が徐々に弱まっていくのと同時に飛貴の体が透けていく
「 き、えちゃうの……？」
涼「 俺ら以外に浮所の記憶はないんだよ、そのままにしておけない 」
「 そ、っか………… 」
わたしの肩を抱いたまま、飛貴から視線を遠ざけるように自分の胸に押し付ける優斗くん
そっと胸を押して顔を上げると、疲れたような顔をした涼くんと目が合った
「 ねえ、涼くん 」
涼「 ん？」
「 優斗くんに彼女がいるって、わたしにウソついたのはこうなる気がしてたから？」
涼「 ああ、そうだよ。でもウソってバレてたなら意味無いけど 」
優斗「 そういう、ことか…… 」
涼「 優斗にはわるいけど、Aに首筋以外から血はあげないで。おまえの体が危険になるから 」
優斗「 わかったけど、」
「 大丈夫だよ、もう、同じことはしないから 」
わたし、やっぱり瑞稀くんじゃなきゃダメみたい。
瑞稀くんもわたしだけだったから吸血鬼にしたんじゃないの？
どうしてわたしの前から消える必要があったの？
はやく迎えに来てよ。
瑞稀くんとふたりなら、わたしは何も要らないのに。
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作者名：李苺
| 作成日時：2018年10月24日 19時
