プロローグ *1 ページ1
このお話は、原作《プロローグ、第3話》から始まります。
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----監督side----
「...日没までだ。」
「え？」
目の前にいるヤクザさんの言葉に一瞬、なんの事か分からなかった。
「今日の日没まで待つ。俺の前に新しい団員を連れてこい。」
「本当に、待ってくれるんですか...？」
正直、そんなチャンスを与えてくれる人に見えなくて、すこしびっくりしている。
「心配ご無用！この幸夫さんの娘様がいるからには百人力です！」
(この人、なんの根拠もないのによくここまで信じきれるな...。)
私の言うこの人とは、父さんの劇団の支配人、らしい。正直言ってあまり信用出来ない。
そう思っていると、ヤクザさんは顰め面をさらに顰めた。
「心配なんざはなからしてねえ、...それにもうひとつ。」
「え...え？もうひとつ？」
(今度は何...？)
次の言葉に身構えていると、予想の斜め上をいった。
「音響係も連れてこい。」
(音響係...？でも、今は別に...)
「それでしたら、私が受け持つので、今の所はいなくても...」
今の所、私も支配人の意見に賛成だ。しかし、ヤクザさんの言葉で今の現状、実に危険か分かった。
「ド素人がいじってるから、酷い演技もさらに酷くなる。
さっきので分かった。音も篭ってて、かなり年季があるのが丸わかり、最悪だ。」
「ガ、ガガーン...」
(うわ、支配人...明らかに落ち込んでる...)
顔に絶望と言う文字があるんじゃないかと疑うほど、ひどく落ち込んでいた。
そんな中、桜のような新入団員の男の子がスっと手を上げた。
「あの、音響ってそんなに大事な事なんですか？」
その言葉に、ヤクザさんは淡々とはなす。
「当たり前だ。どんなにプロの役者が派手な演技をしたって、
゛音が綺麗 ゛でなければ、本来の実力が色ずくことが難しい。
遠くにいる観客にも、音で、感情、気持ち、躍動感を伝えなければならない。そこで初めて、舞台が花開き、感動を覚える」
「な、なるほど...」
新入団員の子が、興味津々で聞いていた。
(そういえば、私も前の劇団にいた時に...
�燹崙団Г�ない、まず棒読みな時点でダメダメ。そんな音色のない声を観客の耳に入れさせたら失礼だ！」��
そんなこと言われてたな...)
「役者の実力もそうだが、それをどこまで彩を見せ、映えさせるか...
全ては音響にかかっていると言っても過言じゃない。」
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作者名：爍搭 | 作成日時：2020年3月22日 1時
