14:受け入れる ページ48
俺達を否定しない人間は初めてだ。俺達の常識が自分と違って当たり前だと言ってきた人間は初めてだ。
俺達に、俺に、心があると言ってきた人間は初めてだ。
そんな人間が居るなんて思わなかった。
正体に気付くと人間達はその顔を一瞬で恐怖の色に染め上げ、魔物というものを否定してきた。それまでどれだけ好意的に接していたとしてもだ。
お前達には心が無い、近付くな、情なんてものが分かる筈もない。
言われた言葉を否定しようにも、確かにその通りだと思えてしまうのだから何も言えまい。
始めは自分達にも心があると信じていた。あの人らの魔物である面を見ても、必死に言い聞かせていた。しかし、それも自分が経験してしまえば終わりだ。向けられた言葉は何も間違ったものではなかったのだと理解した。
そうや。俺達魔物に心なんて無い。そもそもあっていい筈がない。
そう、思っていたのに…思えていたのに……
『私は貴方達を否定しません！貴方達には心があります！！』
目の前の人間は、何を言っているんだ。
俺達の正体を知っても、実際に襲われても、全く怯む事のない瞳で真っ直ぐ此方を見てくる。
何や、何なんやお前。訳分からん。訳分からんのに、なのに何でや。何で俺はそれを否定しきれん。心があると思ってええか、なんて尋ねなくても分かっとる事やろ。良いわけがない。それなのに態々そんな事尋ねて、どうすんねん。
頭が上手く働かない。否定と肯定が脳内をぐるぐると巡り、目が回りそうだ。しかし、そんな渦巻く思考を吹き飛ばすような力強い瞳で目の前のこいつが俺を見てくる。
ほんまにお前は何なんや！？
嗚呼、でも、そうか。そうなんやな。この目か。この目にあの人らもやられたんか。
じっと此方を見据えてくるその瞳は、恐怖や絶望に染まる事をまるで知らず、只只前を見ている。魔物である俺達からも目を逸らす事なく、本質を、中身を、心を見てくれている。
あの人らがこの人間の何処に惹かれたのか分かってしまった。この人間にどうして気を許したのか分かってしまった。
そして、この人間を欲する理由も分かってしまった。
「…俺の負けや」
『え？』
「俺の負けです。認めるわ。あんたの事も、俺達に心があるって事も」
口に出すと、それらは胸の中にすとんと落ちた。本当に認める事が出来た。いや、認めさせられてしまったのだ。
降参と言うように両手を上げそう言った俺を見て、Aの瞳は今までで一番の輝きを魅せた。
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ユドーフ(プロフ) - 怪盗Nさん» ありがとうございます！！！嬉しすぎます...自分の好みが怪盗Nさんにも好いてもらえて良かったです！頑張ります！！！！ (2020年2月19日 18時) (
レス) id: 7bf2f68390 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗N(プロフ) - 控えめに言います。最高です。真面目に私の好きなもの詰め込んでる作品です！更新頑張って下さい！ (2020年2月18日 18時) (レス) id: 0017a7a923 (このIDを非表示/違反報告)
ユドーフ(プロフ) - ルーンさん» ルーンさん…！！発狂寸前だなんて…本当にありがとうございます！！はい！復活したので、また更新していきます！コメント毎回とても嬉しいです！本当に、本当にありがとうございます！ (2020年1月7日 0時) (レス) id: b6d5c53f52 (このIDを非表示/違反報告)
ルーン - コメント失礼しまーす！！ はい…うるさいっすよね。だって一番最初から見てたから＾＾続編来たとき発狂寸前でした…インフルエンザ辛いと思いますが、頑張って治してくださいね！応援します！ (2020年1月2日 2時) (レス) id: 0c6e119b4e (このIDを非表示/違反報告)
ユドーフ(プロフ) - ルミさん» コメントありがとうございます！！そう思ってもらえて良かったです！とても嬉しい言葉をありがとうございます...！はい！！頑張ります！ (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9a9478c8c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユドーフ | 作成日時：2019年12月17日 23時
