真白のヒーロー (ページ3)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:591 hit

誰かの為にが己の生き甲斐ページ3

・

伝説の始まりは六年前。

とある島で、四皇最強と噂されるカイドウが大暴れし

海軍が止む負えず、島を巻き込んでのバスターコール

にまで踏み切ろうとした時。

当然、島を覆うほどの覇気で現れ

120にも満たないだろう小柄な人間が

たった一人であのカイドウと渡り合い、殺す寸前まで

追い詰め、島と数百万人の命を救ったことから

'' 真白のヒーロー '' と呼ばれるようになった。

その日を境に、世界各地あらゆる場所にキンモクセイは

現れ、人々を、海軍を、時には海賊をも救っていった。

その圧倒的な力と正義に、海軍元帥のセンゴクは

何度も何度も勧誘をしているが、全て断られている。

無公認のヒーロー活動。

勿論、世界政府が危険視し、一時期は賞金首にもなったが

救った命があまりにも多いので、彼らも

迂闊に手を出すことが出来ないまま

いつしかこの大海賊時代は、平和の象徴

キンモクセイがいなければ成り立たなくなってしまった。

𑁍𓏸𓈒 𑁍𓏸𓈒 𑁍𓏸𓈒

「きゃあああ！！！強盗よ！！誰かァ！！」

青空の下、響き渡るのは女性の悲鳴だ。

どうやら、店の金が盗まれたようだ。

犯人は包丁を隠し持ち、更には

無鉄砲に振り回しているあたり、うかつに手を出せば

人質が出来てしまうだろう。

ならば＿＿

「ど、どうする！」

「だれか海軍呼んできてよ！」

「近くに船が止まってるのが見えた！俺行ってく…」

『その必要はないよ、少年』

凛々しく、麗しくなるその声に

誰もが目を輝かせ、顔を明るくし振り向く。

「その声…」

「あの、美しい髪！」

「爽やかな柑橘類の香りは…」

白く柔らかな髪を靡かせ、そのヒーローは

犯人の元へと光の速さで移動する。

「なっ！！！なん、でここに！！お前が！！」

犯人は焦ったのか、手に持った包丁を

なりふり構わずにそのヒーローへ振りかざす

が。

「な、な…確かに切ったのに…！！

なぜ、'' キンモクセイ ''がここにぃ…！！！」

ストンと、首に手を振り下ろされ

犯人は気を失う。

犯人の体を支えながら、そのヒーローは

民衆に向けて声をだす。

とても優しい声だった。

『もう大丈夫。……なぜかって？

私が来た！！！』

・