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アルスの黒目がちな大きな瞳は、エイトだけを捉えている。真っ直ぐで、どこか憎しみが籠っているその瞳にエイトは思わず生唾を飲み込んだ。

「……こんな世界、滅んでしまって当然さ」

 アルスが一歩踏み込み、剣先をエイトに向ける。今すぐにでも刺しそうな程近く、エイトは思わず後退りをした。

「……8番目。君だってそう思うだろ?」

 エイトを睨みながらアルスは言った。
 どんなにエイトが後ずさりをしてもアルスは剣先をエイトの目の前に突き付けたまま足を動かすのをやめない。

「ーー僕は……」

 小さく口を開くが、唇が震え、喉に言葉がつまったようにその先は何も言えなかった。アルスが呆れたようにため息をつく。エイトは大きく息を吸い、乱れる呼吸を整えた。

「僕と一緒に世界を滅ぼそう、8番目」

 その瞬間、アルスは剣を地面に突き刺していた。真っ直ぐ刺さったまま動かない剣は怪しい光を放つ。アルスはエイトに手を差し出すが、それはエイトの手によって弾かれた。

「この世界を救って良いことなんてない。広い世界を探す必要なんてない。君の世界はここなんだ!!」
「ーーい、嫌だ……僕は……」

 叫ぶアルスに対し、エイトは震える声で対抗する。
 何度深呼吸をしても呼吸が落ち着く気配はない。息は乱れ、肩で大きく息を吸う。唇が、体全体が震えた。剣を持とうにも指先が震えて力が入らない。

「滅ぼした方が君も幸せだ。こんな理不尽な世界にいたって意味がない。そろそろ目を覚ますんだ」

 アルスの手がエイトの頬に触れ、寒気がして思わず身震いをした。冷たい感触が頬に残るなかエイトは大きく目を見開く。鼓動がいっそう大きくなり、脳内でアルスの言葉が何度も繰り返された。
 ーー一緒に世界を滅ぼそう。
 かつて世界を救うと決めたはずなのに。あのときの思いは何処へいってしまったのだろうか。ーーでも、もうそんなの関係ない。

「ーーあぁ、もちろんだ」

 望み通り、一緒に世界を滅ぼしに行こう。

 二人の勇者は剣を手に取り天に掲げる。救うために存在した剣は今や滅ぼすために存在する。


 ーーこんな世界、滅ぼしてしまえ。


 闇の世界に勇者の声が響き渡った。

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夏目 織(プロフ) - 神無さん» わーーっありがとうございます~!! 次も楽しめるような内容にしていきたいです…!!応援嬉しいです!コメントありがとうございました(*´ω`*) (2017年6月18日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
神無 - めっちゃ面白いです!つぎが楽しみです!逃げ場がなくなった5人はこれからどうなるのか…次も頑張ってください!突然失礼しました! (2017年6月18日 19時) (レス) id: ece3dfc8e2 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - 兎人さん» それ私も思った……() 皆どうなるんだろう……リュカはあんなこと言っちゃったし当分闇堕ちかな~~ ありがとう!次も頑張ります(`・ω・´) (2017年6月17日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
兎人(プロフ) - リュカさんラスボス的な雰囲気を醸し出していると思いました(語彙力)。わー……! もうなんかみんなどうなるのかハラハラする……! 闇堕ちから元に戻るのかどうか楽しみ! 次も頑張ってね! (2017年6月17日 22時) (レス) id: 1a2d7ae52f (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - シーナ@もこたん大好きさん» 楽しく読めたようでよかった…!!ありがとうございます~!語彙力なんて逆に欲しいくらいですけど(笑)この先全然考えてませんが楽しめるような内容にしていきたいです…!! (2017年5月21日 22時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏目 織 | 作成日時:2017年2月19日 12時

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